エネルギー業界はSDGs活動を「知らない」人の割合が最も高い
特筆すべきなのは「知らない、わからない」と回答した人で、その割合は35.4%だった。
これは、300社全体の平均(26.4%)を9.0ポイントも上回っており、今回調査を実施した10の業界グループの中でも最も高かった。
業界内ではENEOSが5連覇&伸び1位、業界平均は全体平均を下回る
次に、エネルギー業界19社の中での、SDGs評価を比較した。
「本格的に取り組んでいる」と回答した人を100点、「少し取り組んでいる」を50点、「どちらとも言えない」を0点、「あまり取り組んでいない」をー50点、「全く取り組んでいない」をー100点として、企業ごと加重平均した値を「SDGs評価点」とした。
なお、各社を「名前も知らない」と答えた人は0点とした。
エネルギー業界内で1位となったのはENEOS。2020年の調査開始以来5年連続となっただけではなく、300社全体でも10位となった。
加えて、SDGs評価点は前年(12.9点)から3.8点増加して16.7点となり、その伸び幅は業界内で最も大きかった。
選択肢別に見ても、「本格的に取り組んでいる」が11.1%、「少し取り組んでいる」が16.9%と、それぞれ業界内で最も高い評価を受けただけではなく、「全く取り組んでいない」が1.3%と業界内で3番目に少なかった。
2位のコスモ石油は12.0点で、前年(11.1点)からこちらも評価を伸ばした。
同社は特に「少し取り組んでいる」が14.0%と業界内で2番目に高かった。
3位の出光興産は11.8点、前年(8.4点)からの伸び幅3.4点は、業界内で2番目に大きかった。
同社は特に「本格的に取り組んでいる」が9.4%と業界内で2番目に高く、「全く取り組んでいない」が1%台と少なかった。
エネルギー業界の中でも石油会社が、業界内上位3社を占める結果となった。
4位の関西電力(11.4点)までが300社全体の上位100位にランクインし、前年も調査対象だった17社中14社が、前年からSDGs評価点を増加させた。
しかし、業界19社の平均評価点は9.2点で、300社全体平均(10.2点)を下回った。
※11位以下の企業の結果は、総合報告書に記載
SDGs17ゴール別では「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」に評価が集中
SDGsで設定されている17ゴール別の取組評価を、エネルギー業界19社平均と、調査対象の全300社平均で比較してみた。
その結果、17あるゴールのうち、エネルギー業界で最も評価平均が高かったのは「7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の9.2%で、300社平均(4.7%)を倍近く上回った。
また、「6.安全な水とトイレを世界中に」は3.7%で300社平均(3.3%)を0.4ポイント、「13.気候変動に具体的な対策を」は2.8%で300社平均(2.6%)を0.2ポイント、「14.海の豊かさを守ろう」は2.1%で300社平均(2.0%)を0.1ポイント、それぞれ上回った。
一方で、残りの13項目では300社平均を下回った。
特に、「2.飢餓をゼロに」「3.すべての人に健康と福祉を」「8.働きがいも、経済成長も」「12.作る責任、使う責任」の4項目では、それぞれ300社全体の平均とは1ポイント以上の差があった。
上記をはじめとした13項目中10項目において、企業別に見ても、300社全体のTOP10はおろか、上位50位以内に同業界の企業が1社もランクインしなかった。
「6.安全な水とトイレを世界中に」の評価がエネルギー業界で最も高かったのは中部電力で5.6%、同社は300社全体では13位にランクインした。
以下、東京ガス(4.8%)、ENEOS(4.7%)、電源開発(J-POWER)(4.4%)までが300社全体の上位50位にランクインした。
「7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」で最も評価が高かったのはENEOSで17.5%、同社は300社全体でも最も評価が高かった。
次いでコスモ石油(12.5%)が300社中3位、東京電力(12.5%、小数点2位以下の差)が4位、大阪ガス(12.1%)が5位、東京ガス(11.0%)が8位、出光興産(10.8%)が9位、中部電力(10.3%)が10位と、300社全体のTOP10のうち、実に7社が同業界からランクインした。
また、上位50位以内には、同業界の19社中14社がランクインした。
「13.気候変動に具体的な対策を」で最も高かったのは関西電力で4.0%、同社は300社全体では15位だった。
TOP10入りこそなかったものの、上位50位以内には同業界から7社がランクインした。
「14.海の豊かさを守ろう」で最も評価が高かったのはENEOSで3.3%、同社は300社全体では24位だった。
次いで評価が高かった関西電力(3.0%)と合わせ、業界内上位2社が300社全体の上位50位にランクインした。
東京電力や関西電力など上位も、業界全体の投資意欲度は低い
次に、エネルギー各社に対して、消費者がどのぐらい投資意欲を持っているのかを全体と比較してみた。
各社について「あなたは各社の株や債券などに投資したいと思いますか」という設問に対し、「いま投資している」「過去に投資したことがある」「投資を検討したい」のいずれかを回答した人の割合を「投資意欲度」とした。
その結果、エネルギー業界19社の平均投資意欲度は18.0%で、300社全体の平均(20.2%)を下回った。
項目別に見ても、「いま投資している」は平均で2.8%(300社平均2.8%)、「過去に投資したことがある」は3.1%(同3.3%)、「投資を検討したい」は12.1%(同14.1%)と、それぞれ全体の平均を下回った(一部小数点2位以下の差による)。
特に、「投資を検討したい」と回答した人の平均割合は、今回調査を実施した10の業界グループの中で最も小さかった。
各社ごとに投資意欲度を比較すると、エネルギー業界内で最も高かったのは、SDGs評価と同様にENEOSで25.9%、同社は300社全体でも13位だった。
「いま投資している」(4.5%)と「投資を検討したい」(18.6%)がそれぞれ業界内で最も高く、300社平均を上回った。
2位は東京電力で20.7%、同社は特に「過去に投資したことがある」が5.3%と業界内で最も高く、300社全体でも楽天(5.6%)、ANA(全日空)(5.3%)に次いで3番目に高かった。
3位は関西電力で20.6点、同社は「いま投資している」が3.9%と業界内で2番目に高かった。
業界内上位3社の投資意欲度は300社全体の平均を上回った。
また、5位の中部電力(19.9%)は「投資を検討したい」が15.2%と業界内で2番目に高く、300社平均を上回った。
一概にエネルギー業界の企業すべてが消費者から投資意欲を持たれていないとは言い切れなさそうだ。
調査概要・報告書のご案内
調査概要
第5回企業版SDGs調査2024は、20歳以上の男女を対象に、2024年9月19日から22日にかけてインターネットで調査を実施し、各社1,000人(1人の回答者には10社について評価)となるように計30,000人の回答を集めた。
不完全回答や信頼度の低い回答は集計対象外としたため、計24,254人を有効回答とした。
調査は各社のSDGs取組の評価、17ゴール別の評価、ESG活動の評価、情報入手経路などについての設問を設けたほか、各社の好感度、利用経験、就職意欲、投資意欲などについての質問も設け、SDGs活動による各社の企業評価への影響度を分析した。
・調査方法 インターネット調査
・調査対象 47都道府県の登録調査モニター(20歳以上)から年代・性別に均等に回収
・総回収数 計30,000人 (各社1,000人となるように回収)
・有効回答数 計24,254人 (各社の平均回答者数は808人)
・調査時期 2024年9月19日~9月22日
・調査項目 SDGs意識: 購入・利用時のSDGs意識
SDGs評価: SDGs取組評価、ゴール別評価、情報入手経路、ESG活動
企業評価: 企業認知度、好感度、利用経験、就職意欲、投資意欲
回答者属性: 年齢、性別、婚姻、子供の有無、世帯年収、居住形態など
調査報告書のご案内
・報告書冊子 (価格は税込)
基本セット:165,000円 総合報告書+個別報告書
総合報告書: 99,000円 A4判 約200ページ
個別報告書: 99,000円 A4判 約25ページ (3年分の結果付)
オプション: 各報告書データCDは 33,000円 (調査結果のデータを収録)
・個別調査パッケージ(価格は税込)
追加調査パッケージ: 385,000円 対象企業以外について調査を実施
・報告会・セミナー (価格は税込。交通費、報告書は別途)
調査結果を基にセミナーまたは研修会を実施: 110,000円
2024年調査でのエネルギー業界グループ対象企業一覧(全19社)
出光興産、岩谷産業、INPEX、ENEOS、大阪ガス、沖縄電力、関西電力、九州電力、コスモ石油、四国電力、中国電力、中部電力、電源開発(J-POWER)、東京ガス、東京電力、東邦ガス、東北電力、北陸電力、北海道電力
(計19社 五十音順)
他の業界・対象企業については、こちらからご覧ください。
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本件に関する問合せ先
株式会社ブランド総合研究所
Tel. 03-3539-3011(代) Fax.03-3539-3013
E-mail: sdgs★tiiki.jp (★を半角@に変更しお送りください)
Homepage: http://tiiki.jp
年代、性別が均等になるように抽出した消費者に対し、エネルギー業界の有力企業各19社それぞれに対して「あなたは各社がSDGs(持続的な開発目標)への取り組みをしていると思いますか」との設問に対し、「本格的に取り組んでいる」と回答した人は7.4%、「少し取り組んでいる」と回答した人は10.4%だった。
各社のSDGs活動を評価している人は合計17.8%で、300社全体の平均(合計19.8%)を2.0ポイント下回った。
一方、「あまり取り組んでいない」と回答した人は2.7%、「全く取り組んでいない」と回答した人は2.1%だった。
ネガティブな評価をしている人は合計4.8%で、こちらも300社全体の平均(合計5.0%)を下回った。