SDGs活動全般に対する評価は全体平均を上回る
300社全体の平均と比較すると、「本格的に取り組んでいる」と回答した人はわずかに下回った(300社平均7.9%)が、「少し取り組んでいる」と回答した人は上回った(同11.9%)。
その結果、各社のSDGs活動を評価している人の合計は300社平均(合計19.8%)をわずかに上回った。
一方、「あまり取り組んでいない」(同2.7%)、「全く取り組んでいない」(同2.3%)と、ネガティブな評価をしている人は、それぞれ300社平均を下回った。
住友林業が業界内3連覇、東急不動産を筆頭にほとんどの企業で評価が上昇
次に、建設・不動産業界18社の中での、SDGs評価を比較した。
「本格的に取り組んでいる」と回答した人を100点、「少し取り組んでいる」を50点、「どちらとも言えない」を0点、「あまり取り組んでいない」をー50点、「全く取り組んでいない」をー100点として、企業ごと加重平均した値を「SDGs評価点」とした。
なお、各社を「名前も知らない」と答えた人は0点とした。
建設・不動産業界でSDGs評価が最も高かったのは住友林業で14.4点。2022年から3年連続で業界内1位となり、300社全体の中では28位にランクインした。
同社は「本格的に取り組んでいる」との回答が10.2%で、業界内で最も高かった。
2位は積水ハウスで14.1点、同社は「少し取り組んでいる」との回答が16.0%で、業界内で最も高かった。
しかし、「全く取り組んでいない」との回答が3.2%と業界内で2番目に多かった結果、SDGs評価は14.1点と、1位の住友林業には0.3点届かなかった。
3位はパナソニックホームズで13.4点、同社は「あまり取り組んでいない」「全く取り組んでいない」がそれぞれ1%台と、ネガティブな評価をした人の割合が少なかった。
業界内上位3位は、いずれも住宅メーカーが占めた。
また、業界内で前年からSDGs評価が最も大きく伸びたのが東急不動産。
今年のSDGs評価は8.6点で業界内のTOP10には入らなかったものの、前年(4.0点)から4.6点の増加は300社全体の中でも9番目に伸びが大きかった。
「本格的に取り組んでいる」は6.6%(前年3.9%)、「少し取り組んでいる」は10.6%(7.7%)と、それぞれ大きく増加した。
TOP10の企業すべてに加えて、業界全18社中17社が、前年からSDGs評価点を増加させた。
その結果、建設・不動産業界18社の平均評価点は10.6点となり、前年(8.4点)から2.2点増加しただけではなく、前年は下回った300社平均(前年8.6点、今年10.2点)を上回った。
※11位以下の企業の結果は、総合報告書に記載
SDGsゴール別では「住み続けられる街づくりを」に評価が集中
SDGsで設定されている17ゴール別の取組評価を、建設・不動産業界18社平均と、調査対象の全300社平均で比較してみた。
その結果、17あるゴールのうち、建設・不動産業界で最も評価平均が高かったのは「11.住み続けられる街づくりを」の9.3%で、300社平均(3.7%)の倍以上となった。
また、「1.貧困をなくす」は4.5%と、こちらも300社平均(2.8%)を大きく上回った。
ゴール別で300社平均を上回ったのは上記に加え、「6.安全な水とトイレを世界中に」「12.作る責任、使う責任」「15.陸の豊かさも守ろう」の5項目だった。
逆に、残りの12項目では300社平均に届かなかった。
特に、「7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「10.人や国の不平等をなくそう」の2項目では、業界平均が300社平均を0.7ポイント下回った。
「11.住み続けられる街づくりを」の評価が建設・不動産業界で最も高かったのは積水ハウスで14.2%、300社全体の中でも1位だった。
2番目に高かった大和ハウス工業(11.7%)、3番目の住友不動産(11.7%、小数点2位以下の差)も高い評価を獲得し、業界内の上位3社がそのまま300社全体の中でもTOP3となった。
それだけではなく、業界内16番目の竹中工務店(7.4%)までが、そのまま300社全体の16位までを独占した。
「12.作る責任、使う責任」で最も高かったのは大林組で8.8%、同社は300社全体の中では島津製作所と並んで4位タイだった。
続く大和ハウス工業が8.2%で300社中9位にランクインした。
「15.陸の豊かさも守ろう」で最も高かったのは住友林業で5.2%、同社は300社全体の中ではサントリー(6.2%)に次いで2位だった。
逆に、上記以外の14項目では、300社全体のTOP10にランクインした企業が1社もなかった。
特に、「3.すべての人に健康と福祉を」「7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」「10.人や国の不平等をなくそう」「14.海の豊かさを守ろう」「16.平和と公正をすべての人に」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」の6項目では、TOP10どころか上位50位にランクインした企業が1社もなかった。
一方で、「1.貧困をなくす」では、300社全体のTOP10にランクインこそしなかったものの、業界内で最も評価が高かったパナソニックホームズ(5.7%)が300社中12位にランクインしたのをはじめ、上位50位以内に13社がランクインした。
飛び抜けて評価されている企業はなくとも、同業界の企業が全体的に高い評価を受けた結果、業界平均が300社平均を上回ったと言えよう。
SDGs情報の接触率が高い積水ハウス、鹿島建設は新聞経由での接触率が際立つ
回答者に各社のSDGs活動に関する情報の接触状況について質問してみたところ、18社平均で29.4%の人が何らかの経緯で情報を入手したと回答し、300社平均(29.1%)をわずかに上回った。
建設・不動産業界内で最も接触率が高かったのは積水ハウスで36.0%、次いで住友林業が33.0%だった。
次に、13の媒体(情報経路)別に各社のSDGs活動に関する情報の接触率を、建設・不動産業界18社平均と300社全体平均で比較してみた。
13ある媒体のうち、建設・不動産業界18社平均が最も高かったのは「テレビCM」で12.3%、300社平均(10.4%)を1.9ポイント上回った。
この項目において業界内で最も評価が高かったのは積水ハウスで18.8%。同社は300社全体の中でも7位にランクインした。
また、「TV番組やニュース」は8.2%と、300社平均(5.9%)に2.3ポイントの差をつけ、最も大きく上回った。
企業別では業界内で最も高かった森ビルが9.9%で300社中4位、次いで大林組が9.6%で7位、住友林業が9.5%で8位、積水ハウスが9.4%で10位と、TOP10に同業界から4社がランクインした。
「新聞や雑誌の記事」と「新聞や雑誌の広告」の新聞に関係した2つの媒体では、鹿島建設がそれぞれ業界内で最も評価が高く、前者では4.5%で300社中10位、後者では4.1%で300社全体の中でも1位だった。
しかし、業界平均が300社平均を上回ったのは上記の4項目にとどまり、残りの9項目では下回った。
特に、「ネットニュース」や「ネット上の動画やSNS」といったインターネット媒体、「企業の商品やサービス」や「販売・取扱店や営業員」といった企業が直接発信できる媒体では、同業界の企業は全300社中50位以内に1社もランクインしなかった。
調査概要・報告書のご案内
調査概要
第5回企業版SDGs調査2024は、20歳以上の男女を対象に、2024年9月19日から22日にかけてインターネットで調査を実施し、各社1,000人(1人の回答者には10社について評価)となるように計30,000人の回答を集めた。
不完全回答や信頼度の低い回答は集計対象外としたため、計24,254人を有効回答とした。
調査は各社のSDGs取組の評価、17ゴール別の評価、ESG活動の評価、情報入手経路などについての設問を設けたほか、各社の好感度、利用経験、就職意欲、投資意欲などについての質問も設け、SDGs活動による各社の企業評価への影響度を分析した。
・調査方法 インターネット調査
・調査対象 47都道府県の登録調査モニター(20歳以上)から年代・性別に均等に回収
・総回収数 計30,000人 (各社1,000人となるように回収)
・有効回答数 計24,254人 (各社の平均回答者数は808人)
・調査時期 2024年9月19日~9月22日
・調査項目 SDGs意識: 購入・利用時のSDGs意識
SDGs評価: SDGs取組評価、ゴール別評価、情報入手経路、ESG活動
企業評価: 企業認知度、好感度、利用経験、就職意欲、投資意欲
回答者属性: 年齢、性別、婚姻、子供の有無、世帯年収、居住形態など
調査報告書のご案内
・報告書冊子 (価格は税込)
基本セット:165,000円 総合報告書+個別報告書
総合報告書: 99,000円 A4判 約200ページ
個別報告書: 99,000円 A4判 約25ページ (3年分の結果付)
オプション: 各報告書データCDは 33,000円 (調査結果のデータを収録)
・個別調査パッケージ(価格は税込)
追加調査パッケージ: 385,000円 対象企業以外について調査を実施
・報告会・セミナー (価格は税込。交通費、報告書は別途)
調査結果を基にセミナーまたは研修会を実施: 110,000円
2024年調査での建設・不動産業界グループ対象企業一覧(全18社)
大林組、鹿島建設、清水建設、住友不動産、住友林業、積水ハウス、大成建設、大東建託、大和ハウス工業、竹中工務店、東急不動産、トヨタホーム、パナソニックホームズ、ミサワホーム、三井不動産、三菱地所、森トラスト、森ビル
(計18社 五十音順)
他の業界・対象企業については、こちらからご覧ください。
本件に関する問合せ先
株式会社ブランド総合研究所
Tel. 03-3539-3011(代) Fax.03-3539-3013
E-mail: sdgs★tiiki.jp (★を半角@に変更しお送りください)
Homepage: http://tiiki.jp
関連記事一覧
第5回企業版SDGs調査2024
・「第5回企業版SDGs調査2024」のご案内
・業界グループ別SDGs評価【電機・電子】
ソニー、パナソニック、セイコー、消費者が評価するSDGs活動
・業界グループ別SDGs評価【建設・不動産】
住友林業や積水ハウス、建設・不動産業界のSDGs活動に対する消費者の評価
・業界グループ別SDGs評価【機械・金属】(近日公開予定)
・業界グループ別SDGs評価【機械・金属】(近日公開予定)
・業界グループ別SDGs評価【紙・化学・繊維】(近日公開予定)
・業界グループ別SDGs評価【飲料・食品】(近日公開予定)
・業界グループ別SDGs評価【エネルギー】(近日公開予定)
・業界グループ別SDGs評価【運輸・交通】(近日公開予定)
・業界グループ別SDGs評価【流通・飲食】(近日公開予定)
・業界グループ別SDGs評価【金融】(近日公開予定)
・業界グループ別SDGs評価【情報・教育・その他】(近日公開予定)
年代、性別が均等になるように抽出した消費者に対し、建設・不動産業界の有力企業各18社それぞれに対して「あなたは各社がSDGs(持続的な開発目標)への取り組みをしていると思いますか」との設問に対し、「本格的に取り組んでいる」と回答した人は7.8%だった。
「少し取り組んでいる」と回答した人は12.1%で、各社のSDGs活動を評価している人は合計で19.9%となり、2割近くに達した。
一方、「あまり取り組んでいない」と回答した人は2.1%、「全く取り組んでいない」と回答した人は2.2%と、ネガティブな評価をしている人は合計4.3%だった。