スズキは「本格的に取り組んでいる」が急増でSDGs評価の伸び全社1位。
技術は高いが、平和・公正などの評価は低い

「SDGsに設定されている17ゴールの中で、各社が取り組んでいると思うものをお選びください」との設問において、各社の結果をもとに機械・金属の30社平均を算出した。
その結果、17ゴールのうち最も高かったのは「9 産業と技術革新の基盤をつくろう」で30社平均では8.8%で、全業種の中で最も高くなった(ちなみに次に高かったのは電機・電子で8.4%)。
なお、このゴールの評価が全300社の中で最も高かったのは本田技研工業で15.4%、次いでトヨタ自動車の14.4%だった。
次に高かったゴールは「12 作る責任、使う責任」で30社平均では6.9%で、これも電機電子の6.7%を上回って全業種の中で最も高かった。
このゴールの評価が最も高いのはスズキで11.6%。同社の前年評価7.5%より4.1ポイントの大幅増だった。
一方で、「14 海の豊かさを守ろう」「15 陸の豊かさも守ろう」「16 平和と公正をすべての人に」「17 パートナーシップで目標を達成しよう」の4つのゴールはいずれも1.6%以下と低く、300社平均よりかなり低いという結果になった。
機械・金属としては、これらのゴールへの取組、あるいはその取組を消費者に伝えることが課題と言えそうだ
技術と責任以外のゴールは前年より評価が低下

機械・金属30社の17ゴールのそれぞれの平均値を、前年の結果と比較したところ、前年より上昇しているのは「9 産業と技術革新の基盤をつくろう」(今年8.8%、前年7.5%)と「12.作る責任、使う責任」(同6.9%、5.7%)の2項目だけだった。
この2つのゴールに関しては、いずれも前年より1ポイント以上の上昇となっており、消費者からの評価が高まっていることがわかる。
ところが、「1 貧困をなくす」は今回が2.5%で前年の2.8%より0.3ポイントの低下、「2 飢餓をゼロに」は今回が2.4%で、前年の2.9%より0.4ポイントの低下となっている(小数点以下は四捨五入して表示している)。この2つを含めて17ゴール中で13ゴールが前年より低下している。
機械・金属業界に対して、消費者視点では技術と責任以外の取組については、十分に伝わっていない可能性がありそうだ。
機械・金属の調査対象企業
IHI、アイシン、荏原製作所、クボタ、神戸製鋼所、コマツ、スズキ、SUBARU、 住友重機械工業、住友電気工業、JFEスチール、ダイキン工業、ダイハツ工業、デンソー、トヨタ自動車、豊田自動織機、トヨタ紡織、日産自動車、日本軽金属、日本製鉄、日立建機、プロテリアル(日立金属)、本田技研工業(ホンダ)、マツダ、三菱自動車工業、三菱重工、ヤマハ、ヤマハ発動機、YKK、YKK AP(30社、五十音順)
調査概要
調査概要
企業版SDGs調査2025の調査対象は業界別に売り上げ規模の大きな企業と、SDGsやESGに積極的に取り組んでいる企業を中心に、ブランド総合研究所が独自に300社を選出しました。
回答者は20代から60代以上までの年代別(5区分)で同数ずつ回収するとともに、世代ごとに男女均等となるように回収。合計3万人の回答を集めた。1人の回答者は10社に対して評価を行ったため、300社を30グループに分けて調査を実施。すなわち各社の評価対象人数は1000人ずつです。
ただし、集計にあたり、回答内容の信頼性の低いレコードを除く(クリーニング)ことにより、調査精度を高めるようにした結果、有効回答数は25,165人となりました(1社当たり839人)。
SDGs調査の特設ページ
・調査方法 企業版SDGs調査(第6回)
・調査方法 インターネット調査
・調査対象 登録調査モニター(20歳以上)から年代・性別に均等に回収
・調査票 300社を10社ずつ30の調査票に分けて作成
・総回収数 計30,000人 (各社1,000人となるように回収した)
・有効回答数 計25,165人 (不完全回答および信頼性の低い回答は集計対象外とした)
・調査時期 2025年5月29日~6月2日
・調査項目 SDGs意識: 購入・利用時のSDGs意識
SDGs評価: SDGs取組評価、ゴール別評価、情報入手経路、ESG活動
企業評価: 企業認知度、好感度、利用経験、就職意欲、投資意欲
回答者属性: 年齢、性別、婚姻、子供の有無、世帯年収、居住形態など
調査報告書のご案内
・報告書冊子 (価格は税込)
基本セット:165,000円 総合報告書+個別報告書+データCD
総合報告書: 99,000円 A4判 約160ページ
総合報告書デジタル版:99,000円 (冊子のPDFおよび各社データのExcelデータ(個別除く))
個別報告書: 55,000円 A4判 約25ページ (3年分の結果付)
・個別調査パッケージ(価格は税込)
追加調査パッケージ: 385,000円
特定企業(3社まで)の具体的なSDGsへの取組について、具体的な評価を行う
お得な追加調査のパッケージです。また、調査対象に含まれていない企業でも、
企業版SDGs調査と同様の追加調査を行い、300社の結果と比較することができます。
・報告会・セミナー (価格は税込。交通費、報告書は別途)
調査結果を基にセミナーまたは研修会を実施: 110,000円
申し込みはお申し込みフォームから
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1位ソニーは伸び幅もトップ。飲料・食品業界各社が高評価
・投資していたい企業ランキング
ベスト3はソニー、ヤクルト、花王。伸び幅では日本旅行がトップ
SDGs17ゴール別ランキング(2024年)
①「貧困をなくす」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」
②「質の高い教育をみんなに」「ジェンダー平等を実現しよう」「安全な水とトイレを世界中に」
③「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」「働きがいも、経済成長も」「産業と技術革新の基盤をつくろう」
④「人や国の不平等をなくそう」「住み続けられる街づくりを」「作る責任、使う責任」
⑤「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」
⑥「平和と公正をすべての人に」「パートナーシップで目標を達成しよう」「17ゴール評価の合計」
企業評価ランキング紹介記事一覧
本件に関する問合せ先
株式会社ブランド総合研究所
Tel. 03-3539-3011(代) Fax.03-3539-3013
E-mail: sdgs★tiiki.jp (★を半角@に変更しお送りください)
Homepage: https://tiiki.jp
SDGs調査サイト: https://news.tiiki.jp/sdgs
機械・金属の対象30社の中で最もSDGs評価が高かったのはトヨタ自動車で、当調査が始まってから6年連続で1位となった。ところが、同社のSDGsへの取り組みを「本格的に取り組んでいる」と答えた人は15.0%で、前年の17.9%より減少。代わりに「少し取り組んでいる」は20.1%で、前年の18.6%より増加している。その結果、SDGs評価は21.5点で前年の23.6点より2.1点の低下となった。
ただ、同社はゴール8「働きがいも、経済成長も」と評価した人が10.7%で前年の9.8%より増加し、全300社中で最も多くなった(前年は2位)。
2位のダイキン工業は前年の17.5点から16.4点へと1.1点の低下となり、全体の順位は4位から13位へと下降した。トヨタ自動車と同様に「本格的に取り組んでいる」との回答が前年の11.0%から9.8%へと減少したためだ。
3位の本田技研工業(ホンダ)は16.1点で前年の15.9点から0.2点の上昇となった。ゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の評価が15.4%で、前年の10.8%より急増し、全300社中で最も高くなった。
4位のスズキは「本格的に取り組んでいる」が10.2%で、前年の8.5%より1.7ポイント増。また「少し取り組んでいる」は14.3%で前年の13.2%より1.1ポイント増と、いずれも前年より増加している。その結果、SDGs評価は15.7点となり、前年の10.4点より5.3点の大幅増となり、全体順位も132位から18位へと急上昇した。
なお、同社の5.3点の伸びは、全300社の中で最も大きい。