各社のSDGs活動に対して消費者からの厳しい評価が特に多い
業界内1位はオリックスで2位に住友生命、みずほ銀行が急上昇で3位
具体的に金融業界20社の個別企業に対するSDGs評価を比較した。
「本格的に取り組んでいる」と回答した人を100点、「少し取り組んでいる」を50点、「どちらとも言えない」を0点、「あまり取り組んでいない」をー50点、「全く取り組んでいない」をー100点として、企業ごと加重平均した値を「SDGs評価点」とした。
なお、各社を「名前も知らない」と答えた人は0点とした。
金融業界内で最も評価が高かったのはオリックスで10.4点、2021年以来となる業界内1位だった。
また、前年(7.2点)からの伸び幅3.2点は業界内で2番目に大きかった。
選択肢別では「本格的に取り組んでいる」が7.6%、「少し取り組んでいる」が業界内で2番目に高い12.5%の評価を得ている。
結果として、300社全体の平均(10.2点)を上回ったのは同社だけだった。
2位は住友生命で9.5点、こちらも前年(7.5点)から評価点を伸ばした。
同社は特に「少し取り組んでいる」が12.1%と業界内で3番目に評価が高かった。
3位はみずほ銀行で9.2点、前年(5.8点)からの伸び幅3.4点は業界内で最も大きく、300社全体では36番目に大きかった。
選択肢別では特に「本格的に取り組んでいる」が8.1%と前年(5.2%)から3ポイント近く増加し、業界内で最も評価が高かった。
4位の日本生命(8.9点)は「本格的に取り組んでいる」が8.0%と業界内3位、小数点2位以下の差で5位のゆうちょ銀行(8.9点)は「少し取り組んでいる」が14.9%と業界内で最も評価が高かった。
全20社中17社でSDGs評価が前年から上昇し、業界の平均評価点も前年(6.6点)から1.4点増の8.0点だった。
しかし、先述の300社平均とは2.2点の差があり、今回調査対象となった10の業界グループの中で平均評価点が最も低かった。
また、最も評価が高かったオリックスが、300社中で134位となっており、同業界では他業界と比較して高い評価を受けている企業が少ないことがわかる。
※11位以下の企業の結果は、総合報告書に記載
SDGs17ゴール別では半分近くで比較的高評価も、「あてはまるものはない」も多い
SDGsで設定されている17ゴール別の取組評価を、金融業界20社平均と、調査対象の全300社平均で比較してみた。
その結果、17あるゴールのうち、金融業界の平均が300社平均を上回ったのは半分近い8項目だった。
特に「17.パートナーシップで目標を達成しよう」は2.5%で300社平均(1.8%)を0.7ポイント、「16.平和と公正をすべての人に」は2.5%で300社平均(2.0%)を0.5ポイント、それぞれ上回っただけではなく、今回調査対象となった10の業界グループの中で最も平均評価が高かった。
企業別に見ると、業界内で上記の2項目における評価が最も高かったのはゆうちょ銀行。
「16.平和と公正をすべての人に」は3.2%で300社全体でも10位タイ、「17.パートナーシップで目標を達成しよう」は3.1%で300社中10位と、それぞれ今回調査対象となった企業全体の中でも評価が高かった。
また、「16.平和と公正をすべての人に」では上位50位以内に計10社、「17.パートナーシップで目標を達成しよう」では計11社がそれぞれ同業界からランクインし、業界全体としての評価の高さが伺える。
「3.すべての人に健康と福祉を」で最も評価が高かったのはかんぽ生命保険で7.7%。
同業界からは住友生命、明治安田生命と、保険会社3社が上位50位以内にランクインした。
「4.質の高い教育をみんなに」で最も評価が高かったのはゆうちょ銀行で5.3%。
同業界からは日本生命と2社が上位50位以内にランクインした。
「5.ジェンダー平等を実現しよう」で最も評価が高かったのは第一生命で5.4%。
同業界からはゆうちょ銀行と2社が上位50位以内にランクインした。
「8.働きがいも、経済成長も」で最も評価が高かったのはみずほ銀行で8.9%、同社は300社全体でも6位タイにランクインした。
同業界からは上記に加え、三井住友銀行、りそな銀行、オリックスの計4社が上位50位以内にランクインした。
「10.人や国の不平等をなくそう」で最も評価が高かったのは三井住友海上で4.5%。
TOP10入りする企業こそなかったものの、同業界からは計7社が上位50位以内にランクインした。
「11.住み続けられる街づくりを」で最も評価が高かったのはゆうちょ銀行で6.5%。
同業界からはりそな銀行、三井住友海上と3社が上位50位以内にランクインした。
「15.陸の豊かさも守ろう」で最も評価が高かったのはソニー損保で2.9%。
同業界からは唯一、上位50位以内にランクインした。
一方、残りの9項目では300社平均を下回った。
特に「7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」は3.4%、「12.作る責任、使う責任」は3.5%にそれぞれとどまり、300社平均とは1.3ポイントの差があった。
企業別に見ても、「15.陸の豊かさも守ろう」を除く8項目では、300社全体のTOP10どころか、上位50位以内に同業界の企業が1社もランクインしなかった。
また、SDGs17ゴールの中で各社の活動があてはまるものはない、という回答した人は半数以上にあたる51.2%にのぼり、300社全体の平均(43.7%)を7.5ポイント上回っただけではなく、調査対象となった10の業界グループの中で最も平均が高かった。
第一生命や大和証券など、認知度では企業の名前が先行する傾向
次に、金融業界各社の企業全体への評価について分析してみる。まずは、消費者はどのぐらい認知しているのか、300社全体での認知度の結果を20社平均で集計してみた。
金融業界20社それぞれについて、「あなたは各社についてご存知ですか」という設問に対し、名前も知らない」と回答した人は20.3%と、300社全体の平均(26.4%)を下回った。
上記だけ見ると、金融業界各社は比較的消費者から認知されているように伺える。
しかし、「よく知っている」と回答した人は12.5%(300社平均13.1%)、「少し知っている」と回答した人は23.6%(同23.6%)で、各社がどういう企業であるか多少なりとも認知している消費者は合計36.1%と、300社全体の平均(36.7%)を0.6ポイント下回った。
一方、「名前だけ知っている」と回答した人は43.6%で、300社全体の平均(36.8%)を6.8ポイント上回った。
企業別に見ると、業界内でその割合が最も高かったのは第一生命。
消費者の半数以上にあたる51.0%が、同社の名前は認知していても、その詳細までは認知していなかった。
同社は300社全体でも、その割合が2番目に高かった。
業界内2位は大和証券で50.5%、同社についても半数以上の消費者が「名前だけは知っている」と回答した。
同社は300社全体でも3番目に高かった。
業界内3位の野村証券(49.3%)までが300社全体のTOP10に入り、業界内のTOP10全社が300社全体の50位以内にランクインした。
企業名が先行して事業内容やSDGs活動までなかなか消費者に認知されにくい同業界の現状が、認知度の観点からも伺える。
調査概要・報告書のご案内
調査概要
第5回企業版SDGs調査2024は、20歳以上の男女を対象に、2024年9月19日から22日にかけてインターネットで調査を実施し、各社1,000人(1人の回答者には10社について評価)となるように計30,000人の回答を集めた。
不完全回答や信頼度の低い回答は集計対象外としたため、計24,254人を有効回答とした。
調査は各社のSDGs取組の評価、17ゴール別の評価、ESG活動の評価、情報入手経路などについての設問を設けたほか、各社の好感度、利用経験、就職意欲、投資意欲などについての質問も設け、SDGs活動による各社の企業評価への影響度を分析した。
・調査方法 インターネット調査
・調査対象 47都道府県の登録調査モニター(20歳以上)から年代・性別に均等に回収
・総回収数 計30,000人 (各社1,000人となるように回収)
・有効回答数 計24,254人 (各社の平均回答者数は808人)
・調査時期 2024年9月19日~9月22日
・調査項目 SDGs意識: 購入・利用時のSDGs意識
SDGs評価: SDGs取組評価、ゴール別評価、情報入手経路、ESG活動
企業評価: 企業認知度、好感度、利用経験、就職意欲、投資意欲
回答者属性: 年齢、性別、婚姻、子供の有無、世帯年収、居住形態など
調査報告書のご案内
・報告書冊子 (価格は税込)
基本セット:165,000円 総合報告書+個別報告書
総合報告書: 99,000円 A4判 約200ページ
個別報告書: 99,000円 A4判 約25ページ (3年分の結果付)
オプション: 各報告書データCDは 33,000円 (調査結果のデータを収録)
・個別調査パッケージ(価格は税込)
追加調査パッケージ: 385,000円 対象企業以外について調査を実施
・報告会・セミナー (価格は税込。交通費、報告書は別途)
調査結果を基にセミナーまたは研修会を実施: 110,000円
2024年調査での金融業界グループ対象企業一覧(全20社)
SMBC日興証券、オリックス、かんぽ生命保険、住友生命、ソニー生命、ソニー損保、損保ジャパン、第一生命、大和証券、東京海上、日本生命、野村證券、みずほ銀行、三井住友海上、三井住友信託銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、明治安田生命、ゆうちょ銀行、りそな銀行
(計20社 五十音順)
他の業界・対象企業については、こちらからご覧ください。
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本件に関する問合せ先
株式会社ブランド総合研究所
Tel. 03-3539-3011(代) Fax.03-3539-3013
E-mail: sdgs★tiiki.jp (★を半角@に変更しお送りください)
Homepage: http://tiiki.jp
年代、性別が均等になるように抽出した消費者に対し、金融業界の有力企業各20社それぞれに対して「あなたは各社がSDGs(持続的な開発目標)への取り組みをしていると思いますか」との設問に対し、「本格的に取り組んでいる」と回答した人は7.2%、「少し取り組んでいる」と回答した人は10.5%で、両者を合計すると17.7%の消費者は、金融業界各社のSDGs活動を評価していた。
300社全体の平均と比較すると、「本格的に取り組んでいる」(300社平均7.9%)と「少し取り組んでいる」(同11.9%)のいずれも下回った。
一方、「あまり取り組んでいない」と回答した人は3.4%(300社平均2.7%)、「全く取り組んでいない」と回答した人は2.7%(同2.3%)と、ネガティブな評価をしている人はそれぞれ300社全体の平均を上回り、今回調査対象となった10の業界グループの中で最も割合が高かった。
また、後述するが、企業別のSDGsランキングで上位100位以内に金融業界が1社もランクインしていない。