消費者の4人に一人近くが飲料・食品業界のSDGs活動を評価
300社全体の平均と比較すると、「本格的に取り組んでいる」は1.4ポイント(300社平均7.9%)、「少し取り組んでいる」は2.8ポイント(同11.9%)それぞれ上回り、各社のSDGs活動を評価する人は全体に比べて多かった。
一方、「あまり取り組んでいない」は0.1ポイント(同2.7%)、「全く取り組んでいない」は0.2ポイント(同2.3%)それぞれ下回り、ネガティブな評価をする消費者については、全体に比べてわずかながら少なかった。
業界内ではサントリーが4連覇、山崎製パンは前年から急上昇
次に、飲料・食品業界35社の中での、SDGs評価を比較した。
「本格的に取り組んでいる」と回答した人を100点、「少し取り組んでいる」を50点、「どちらとも言えない」を0点、「あまり取り組んでいない」をー50点、「全く取り組んでいない」をー100点として、企業ごと加重平均した値を「SDGs評価点」とした。
なお、各社を「名前も知らない」と答えた人は0点とした。
飲料・食品業界でSDGs評価が最も高かったのはサントリー。2021年から4年連続で業界内1位だったことに加え、300社全体の中でも7位だった。
SDGs評価自体を見ると、前年(18.8点)から今年(16.9点)で1.9点減少しているものの、選択肢別に見ると、「本格的に取り組んでいる」が12.2%と、業界内で最も高かった。
2位の味の素は16.9点、1位のサントリーとは小数点2位以下のわずかな差で、300社中でも8位にランクインした。
こちらもSDGs評価自体は前年(18.0点)から16.9点へと1.1点減少しているものの、選択肢別では「本格的に取り組んでいる」が11.8%で業界内2位、「少し取り組んでいる」が17.7%で業界内4位だった。
3位の伊藤園は16.8点、こちらは前年(12.4点)から大きく増加し、300社中9位にランクインした。
SDGs評価の伸び幅4.4点は、業界内で2番目、300社全体でも14番目に大きかった。
選択肢別では「本格的に取り組んでいる」が16.5%と、前年(7.7%)から倍以上の増加となった。
業界内で前年からの伸びが最も大きかったのは4位の山崎製パン。
前年(10.1点)から今年(16.5点)へと6.4点増加し、300社全体の中でもNTTドコモに次いで2番目に伸びが大きかった。
同社は「本格的に取り組んでいる」が10.8%(前年6.2%)、「少し取り組んでいる」が17.8%(同13.9%)と、それぞれ増加している。
企業単体ではSDGs評価の上下は様々だったものの、業界内TOP10はすべて300社全体の30位以内、業界35社中27社が300社全体の上位100位以内にランクインを果たした。
その結果、飲料・食品業界35社の平均は12.8点と、300社全体の平均(10.2点)を2.6点上回った。
※11位以下の企業の結果は、総合報告書に記載
SDGs17ゴール別では「飢餓をゼロに」をはじめ12項目で全体平均を上回る
SDGsで設定されている17ゴール別の取組評価を、飲料・食品業界35社平均と、調査対象の全300社平均で比較してみた。
その結果、17あるゴールのうち、飲料・食品業界で最も評価平均が高かったのは「2.飢餓をゼロに」の7.4%で、300社平均(3.1%)を大きく上回った。。
また、「3.すべての人に健康と福祉を」は6.9%で300社平均(4.5%)を2.4ポイント、「1.貧困をなくす」は4.7%で300社平均(2.8%)を1.9ポイントと、それぞれ大きく上回った。
ゴール別で300社平均を上回ったのは上記など、17ゴールのうち過半数にあたる12項目だった。
一方で、残りの5項目では300社平均を下回った。
特に、「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」は4.5%にとどまり、300社平均(5.5%)とは1.0ポイントの差があった。
上記に加え、「11.住み続けられる街づくりを」の2項目では、企業別に見ても、300社全体のTOP10はおろか、上位50位以内に同業界の企業が1社もランクインしなかった。
各ゴール別に業界内で最も評価が高かった企業を見てみると、ヤクルトは「3.すべての人に健康と福祉を」「10.人や国の不平等をなくそう」「11.住み続けられる街づくりを」の3項目で最も高かった。
特に、「3.すべての人に健康と福祉を」は12.8%で、300社全体の中でも1位だった。
アサヒビールは「4.質の高い教育をみんなに」「7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」「8.働きがいも、経済成長も」の3項目で最も高かった。
特に、「4.質の高い教育をみんなに」は5.6%で、300社全体の中では5位だった。
サントリーも3つのゴールにおいて最も高かった。
加えて、「6.安全な水とトイレを世界中に」は9.2%で300社中2位、「13.気候変動に具体的な対策を」は4.9%で4位、そして「15.陸の豊かさも守ろう」は6.2%で300社全体でも1位と、それぞれ調査対象となった企業全体の中でも評価が高かった。
山崎製パンは「2.飢餓をゼロに」と「17.パートナーシップで目標を達成しよう」の2項目で最も高かった。
特に「2.飢餓をゼロに」は12.9%で、300社全体の中でも1位だった。
味の素も「12.作る責任、使う責任」と「16.平和と公正をすべての人に」の2項目で最も高かった。
特に「16.平和と公正をすべての人に」は3.7%で、300社全体では2位だった。
「14.海の豊かさを守ろう」で最も高かったマルハニチロは9.8%で、300社全体の中でも1位だった。
その他、「1.貧困をなくす」ではキユーピー、「5.ジェンダー平等を実現しよう」ではカルビー、「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」ではサッポロビールがそれぞれ業界内で最も評価が高かった。
味の素やキユーピーをはじめ、業界全体として好感度が高い
次に、飲料・食品各社に対して、消費者がどのぐらい好感を抱いているのか、300社全体の平均と比較してみた。
飲料・食品業界35社それぞれについて、「あなたは各社に好感が持てますか」という設問に対し、「とても好感が持てる」と回答した人は12.3%だった。
また、「少し好感が持てる」と回答した人は24.1%で、両者の合計は36.4%となり、消費者の3人に一人以上となった。
一方、「あまり好感が持てない」と回答した人は3.0%、「全く好感が持てない」と回答した人は2.2%だった。
300社全体の平均と比較すると、「とても好感が持てる」(300社平均8.5%)では3.8ポイント、「少し好感が持てる」(同16.4%)では7.7ポイントそれぞれ上回り、企業に対して好感を抱いている人の平均では10ポイント以上も上回った(同24.9%)。
一方、「あまり好感が持てない」(同3.0%)では0.4ポイント下回ったが、「全く好感が持てない」(同2.2%)では300社平均とほぼ同じ割合となった。
次に、飲料・食品業界35社の中での、好感度を比較した。
「とても好感が持てる」と回答した人を100点、「少し好感が持てる」を50点、「どちらでもない」を0点、「あまり好感が持てない」をー50点、「全く好感が持てない」をー100点として、企業ごと加重平均した値を「好感度」とした。
なお、各社を「名前も知らない」と答えた人は0点とした。
飲料・食品業界で最も好感度が高かったのは味の素。同社は300社全体でも、花王(27.1点)に次いで2番目に高かった。
「とても好感が持てる」は15.5%、「少し好感が持てる」は29.2%とそれぞれ評価が高かっただけではなく、「全く好感が持てない」が1%台と少なかった。
2位のキユーピー(26.8点)は300社全体では3番目に評価が高かった。
特に「とても好感が持てる」が16.3%と同業界で最も高く、300社全体ではトヨタ自動車(19.4%)、パナソニック(16.8%)に次いで3番目に高かった。
3位のヤクルト(26.6%)は300社全体では4番目に評価が高かった。
特に「少し好感が持てる」が32.7%と同業界で最も高く、300社全体でも1位だった。
以下、同業界7位のカルピス(25.7点)までが300社全体のTOP10に入っただけではなく、業界35社のうち300社全体の上位50位以内に25社、上位100位以内に32社がランクインした。
その結果、飲料・食品業界35社の好感度平均は20.6点と、300社全体平均(12.8点)を大きく上回り、業界全体に対する消費者からの好感度の高さが伺えた。
調査概要・報告書のご案内
調査概要
第5回企業版SDGs調査2024は、20歳以上の男女を対象に、2024年9月19日から22日にかけてインターネットで調査を実施し、各社1,000人(1人の回答者には10社について評価)となるように計30,000人の回答を集めた。
不完全回答や信頼度の低い回答は集計対象外としたため、計24,254人を有効回答とした。
調査は各社のSDGs取組の評価、17ゴール別の評価、ESG活動の評価、情報入手経路などについての設問を設けたほか、各社の好感度、利用経験、就職意欲、投資意欲などについての質問も設け、SDGs活動による各社の企業評価への影響度を分析した。
・調査方法 インターネット調査
・調査対象 47都道府県の登録調査モニター(20歳以上)から年代・性別に均等に回収
・総回収数 計30,000人 (各社1,000人となるように回収)
・有効回答数 計24,254人 (各社の平均回答者数は808人)
・調査時期 2024年9月19日~9月22日
・調査項目 SDGs意識: 購入・利用時のSDGs意識
SDGs評価: SDGs取組評価、ゴール別評価、情報入手経路、ESG活動
企業評価: 企業認知度、好感度、利用経験、就職意欲、投資意欲
回答者属性: 年齢、性別、婚姻、子供の有無、世帯年収、居住形態など
調査報告書のご案内
・報告書冊子 (価格は税込)
基本セット:165,000円 総合報告書+個別報告書
総合報告書: 99,000円 A4判 約200ページ
個別報告書: 99,000円 A4判 約25ページ (3年分の結果付)
オプション: 各報告書データCDは 33,000円 (調査結果のデータを収録)
・個別調査パッケージ(価格は税込)
追加調査パッケージ: 385,000円 対象企業以外について調査を実施
・報告会・セミナー (価格は税込。交通費、報告書は別途)
調査結果を基にセミナーまたは研修会を実施: 110,000円
2024年調査での紙・化学・繊維業界グループ対象企業一覧(全39社)
旭化成、アシックス、アストラゼネカ、エーザイ、AGC、王子製紙、大塚製薬、オンワード、花王、カネカ、サラヤ、シオノギ製薬、資生堂、住友化学、住友ゴム工業、積水化学工業、第一三共、大王製紙、武田薬品工業、田辺三菱製薬、帝人、DIC、東レ、TOTO、日本ガイシ、日本製紙、久光製薬、ファンケル、富士フイルム、ブリヂストン、ミズノ、三井化学、三菱ケミカル、三菱マテリアル、UBE(宇部興産)、ユニ・チャーム、横浜ゴム、LIXIL、ワコール
(計39社 五十音順)
他の業界・対象企業については、こちらからご覧ください。
本件に関する問合せ先
株式会社ブランド総合研究所
Tel. 03-3539-3011(代) Fax.03-3539-3013
E-mail: sdgs★tiiki.jp (★を半角@に変更しお送りください)
Homepage: http://tiiki.jp
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・業界グループ別SDGs評価【流通・飲食】(近日公開予定)
・業界グループ別SDGs評価【金融】(近日公開予定)
・業界グループ別SDGs評価【情報・教育・その他】(近日公開予定)
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「少し取り組んでいる」と回答した人は14.7%で、各社のSDGs活動を評価している人は合計24.0%となり、4人に一人近くとなった。
一方、「あまり取り組んでいない」と回答した人は2.8%、「全く取り組んでいない」と回答した人は2.5%で、ネガティブな評価をしている人は合計5.3%だった。