消費者の2割が電機各社を評価。業界平均は全社平均を下回る
「本格的に取り組んでいる」と回答した人は7.6%(300社平均は7.9%)、「少し取り組んでいる」と回答した人は11.4%(同11.9%)で、およそ2割の消費者はポジティブな評価をしているものの、300社全体の平均をそれぞれ下回った。
一方、「あまり取り組んでいない」と回答した人は2.5%(300社平均は2.7%)、「全く取り組んでいない」と回答した人は2.1%(同2.3%)と、ネガティブな評価をした消費者についても、それぞれ全体平均を下回った。
最も高いのはソニー。セイコーは前年より急上昇
次に、電機・電子業界(精密機械を含む)32社の中での、SDGs評価を比較した。
「本格的に取り組んでいる」と回答した人を100点、「少し取り組んでいる」を50点、「どちらとも言えない」を0点、「あまり取り組んでいない」をー50点、「全く取り組んでいない」をー100点として、企業ごと加重平均した値を「SDGs評価点」とした。
なお、各社を「名前も知らない」と答えた人は0点とした。
電機・電子業界グループで1位となったのはソニーで、2020年の調査開始以来、初めて業界内1位となった。
同社を「本格的に取り組んでいる」と回答したのは11.2%、「少し取り組んでいる」が17.2%で、計28.4%の回答者が同社のSDGsへの取り組みを評価している。
SDGs評価点は16.5点となり、前年の10.8点から5.7点増となった。この伸びの大きさはグループ内で2番目に大きかった。
2位はパナソニックで「本格的に取り組んでいる」が12.0%、「少し取り組んでいる」が17.5%tで、両社の合計は29.5%となり、ソニーを上回って業界内で最も多かった。
ところが「全く取り組んでいない」との回答が3.5%と、ソニーの2.1%より多かったため、SDGs評価点はソニーをわずかに下回った。
3位はセイコー(この調査では、消費者が回答しやすいようにブランド名や事業名、愛称での表記を優先している。また、電機・電子グループには精密機械各社も含めた)で、SDGs評価点は13.4点となり、前年の7.4点から大きく伸びた。
この伸び幅は同業界で最も大きく、今回の調査対象企業300社全体の中でも3番目に大きかった。
※11位以下の企業の結果は、総合報告書に記載
SDGsの17ゴール中、平均を上回るのは4つのみ
SDGsで設定されている17ゴール別の取組評価を、電機・電子業界32社平均と、調査対象の全300社平均で比較してみた。
その結果、17あるゴールのうち、電機・電子業界グループで最も評価平均が高かったのは「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」で、その数値は7.4%と300社平均(5.5%)を大きく上回った。
しかし、300社平均を上回っているのは上記に加え、「4.質の高い教育をみんなに」「8.働きがいも、経済成長も」「12.作る責任、使う責任」の計4項目のみで、残りの13項目では300社平均を下回る結果となった。
特に、「11.住み続けられる街づくりを」はなど、300社平均を大きく下回る項目もある。
「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」の評価が電機・電子業界の中で最も高かったのはパナソニックで12.6 %。これは前年の10.9%より1.7ポイント上昇している。
300社の中で同社はトヨタ自動車の15.3%と、NTTドコモの12.9%に次いで3番目に高かった。
次いで高いのはソニーの11.4%で、前年の9.7%より1.7ポイント上昇している。300社中ではパナソニックに次いで4位。ほかにNECが 11.1%で300社中で7位だった。
「12.作る責任、使う責任」ではパナソニックが8.8%で最も高く、 300社中では6位。次いで東芝が8.5%で7位だった。
「8.働きがいも、経済成長も」ではアイリスオーヤマが8.9%で最も高く(300社中では6位)次いでパナソニックが8.9% (同8位)、「4.質の高い教育をみんなに」ではソニー が5.4%で8位と評価が高かった。
ところが、その他のゴールでは同業界で全体の10位以内にランクインする企業はない。その結果が、前出のように多くのゴールで業界平均が300社平均を下回ることにつながったようだ。
SDGs情報の接触はパナソニック、シャープが高い
回答者に各社のSDGs活動に関する情報の接触状況について質問してみたところ、32社平均では27.9%が情報を入手したと回答した(情報リーチ率)が、72.1%は入手していなかった。
なお、他業界も含む全300社の平均では情報リーチ率は29.1%より低かった。
電機・電子業界の中で最もSDGs情報リーチ率が高かったのはシャープで39.2%、次いでパナソニックの39.1%だった。
電機・電子業界の、情報経路別での接触度を比較したところ、最も高かったのはテレビCMで9.7%(300社平均は10.4%)、次いでTV番組やニュースの5.5%(同5.9%)となった。
同業界でテレビCMの接触度が最も高いのはパナソニックで17.0%、次いでアイリスオーヤマの16.2%。TV番組やニュースが最も高いのはシャープで10.5%、次いでパナソニックの9.0%だった。
インターネット関連の情報では、ネットニュースは4.1%(同4.3%)、企業のホームページが3.9%(同4.0%)、ネット上の動画やSNSは1.6%(同1.9%)となった。パナソニックは、ネットニュース6.1%、企業のホームページ6.0%ともに同業界の企業で最も接触率が高かった。
新聞や雑誌の記事は電気・電子業界32社平均が3.4%で、調査対象全300社平均の3.0%より唯一高くなっている。ちなみにこの項目で最も高いのはシャープの5.5%、2位はパナソニックの5.4%で、両社は全300社の中でもそれぞれ1位、2位となっている。
調査概要・報告書のご案内
調査概要
第5回企業版SDGs調査2024は、20歳以上の男女を対象に、2024年9月19日から22日にかけてインターネットで調査を実施し、各社1,000人(1人の回答者には10社について評価)となるように計30,000人の回答を集めた。
不完全回答や信頼度の低い回答は集計対象外としたため、計24,254人を有効回答とした。
調査は各社のSDGs取組の評価、17ゴール別の評価、ESG活動の評価、情報入手経路などについての設問を設けたほか、各社の好感度、利用経験、就職意欲、投資意欲などについての質問も設け、SDGs活動による各社の企業評価への影響度を分析した。
・調査方法 インターネット調査
・調査対象 47都道府県の登録調査モニター(20歳以上)から年代・性別に均等に回収
・総回収数 計30,000人 (各社1,000人となるように回収)
・有効回答数 計24,254人 (各社の平均回答者数は808人)
・調査時期 2024年9月19日~9月22日
・調査項目 SDGs意識: 購入・利用時のSDGs意識
SDGs評価: SDGs取組評価、ゴール別評価、情報入手経路、ESG活動
企業評価: 企業認知度、好感度、利用経験、就職意欲、投資意欲
回答者属性: 年齢、性別、婚姻、子供の有無、世帯年収、居住形態など
調査報告書のご案内
・報告書冊子 (価格は税込)
基本セット:165,000円 総合報告書+個別報告書
総合報告書: 99,000円 A4判 約200ページ
個別報告書: 99,000円 A4判 約25ページ (3年分の結果付)
オプション: 各報告書データCDは 33,000円 (調査結果のデータを収録)
・個別調査パッケージ(価格は税込)
追加調査パッケージ: 385,000円 対象企業以外について調査を実施
・報告会・セミナー (価格は税込。交通費、報告書は別途)
調査結果を基にセミナーまたは研修会を実施: 110,000円
2024年度調査での電機・電子業界グループ対象企業一覧(全32社)
アイリスオーヤマ、アルプスアルパイン、アンリツ、NEC、EPSON、オムロン、オリンパス、カシオ計算機、キーエンス、キヤノン、京セラ、コニカミノルタ、島津製作所、シャープ、セイコー、ソニー、TDK、テルモ、デンソーテン、東京エレクトロン、東芝、日本IBM、パイオニア、パナソニック、日立製作所、富士通、富士電機、三菱電機、ミネベアミツミ、村田製作所、横河電機、リコー(全32社、五十音順)
他の業界・対象企業については、こちらからご覧ください。
本件に関する問合せ先
株式会社ブランド総合研究所
Tel. 03-3539-3011(代) Fax.03-3539-3013
E-mail: sdgs★tiiki.jp (★を半角@に変更しお送りください)
Homepage: http://tiiki.jp
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全企業の中で最も伸びたNTTドコモがSDGs評価1位。投資意欲では過去と未来で企業に違い
企業評価項目別ランキング
・好感度ランキング
好感度は花王が大躍進の1位。味の素、キユーピーが続き、リクルートや山崎製パンが急上昇
・就職意欲度ランキング(近日公開予定)
・投資してみたい企業ランキング(近日公開予定)
SDGs17ゴール別ランキング
①「貧困をなくす」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」
②「質の高い教育をみんなに」「ジェンダー平等を実現しよう」「安全な水とトイレを世界中に」(近日公開予定)
③ 「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」「働きがいも、経済成長も」「産業と技術革新の基盤をつくろう」(近日公開予定)
④ 「人や国の不平等をなくそう」「住み続けられる街づくりを」「作る責任、使う責任」(近日公開予定)
⑤ 「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」(近日公開予定)
⑥ 「平和と公正をすべての人に」「パートナーシップで目標を達成しよう」「17ゴール評価の合計」(近日公開予定)
年代、性別が均等になるように抽出した消費者に対し、電機・電子業界の有力企業32各社それぞれに対して「あなたは各社がSDGs(持続的な開発目標)への取り組みをしていると思いますか」との設問に対し、「積極的に取り組んでいる」と回答した人は7.6%だった。
「少し取り組んでいる」と回答した人は11.4%で、合計すると2割弱の消費者が各社のSDGs活動を評価しているという結果になった。
一方、「あまり取り組んでいない」と回答した人は2.5%、「全く取り組んでいない」と回答した人は2.1%と、ネガティブな評価をしたのは4.6%と少なかった。