来店者の17%が観光情報を入手。アンテナショップは情報発信の拠点に
確かに、街中の旅行代理店のショップはめっきり少なくなり、駅の観光案内所も縮小傾向にある。つまり、旅行パンフレットや情報を得る場所が少なくなっている時代だからこそ、手軽に入手できる場所として都道府県のアンテナショップの存在意義が高まっているということだ。
例えば滋賀県のアンテナショップ「ここ滋賀」には数多くの観光パンフレットとともに、「観光コンシェルジュ」がいて、観光アドバイスをしている。具体的なツアー申込をする人も多く、まさに観光のアンテナショップとしての機能も高い。
こうした傾向は観光だけではない。「移住・定住に関する情報を得た」と答えた人も7.0%おり、都道府県アンテナショップが地域の特産品を売るだけではなく、その地域に関する多様な情報発信拠点として活用されてるようになっている実態が明らかになっている。
若者の方がで観光情報の入手が多い

「観光パンフレットや情報を得た」と回答した人を性年代別に比較したところ、男性で最も高かったのが20代で4人に1人を超える25.3%を占めた。また、30代も21.8%と40代以上よりも高い。
女性では、20代と40代が18.6%強。男性ほどではないが、それでも50代以上より明らかに利用度が高くなっている。
つまり、若い世代で観光情報を入手する人が多いということだ。
その理由は明らか。若い人が好む観光は「見る観光」ではなく、「する観光」。食べ歩きやショッピングなどを楽しむことが、旅行の大きな目的になっている。
彼らたちはアンテナショップでその地域の珍しい商品や食を知り、それを現地で直接的に触れるような旅を好む。だからこそ、商品と食と、そして観光情報が一度に手に入るアンテナショップを好むのだろう。
アンテナショップ別では徳島が26.2%で最高。奈良、山梨が続く

では、そうした観光情報を得る人が多いアンテナショップはどこか?
来店者のうち「観光パンフレットや情報を得た」と回答した人の割合が最も高かったのは、徳島県ターンテーブルだった。
同店は渋谷駅から徒歩8分に位置し、徳島県の「食」「体験」「交流」を体感できる。
もともとはレストランと宿泊施設がメインだった。休日だけ扱っていた物販が、ニーズの高まりとともに毎日扱うようになったというわけ。
なお、同店では徳島の食材と名物の「阿波踊り」を融合したイベントも実施している。
2位は奈良まほろば館。平城遷都1300年記念事業の情報発信を目的として、日本橋にオープンしたのがはじまりで、しばらくは物販はごくわずかで、観光情報の発信が中心だった。
2021年に新橋に位置した際に物販と飲食が強化されたが、それまでの経緯もあり、奈良の社寺情報をはじめとした観光情報やアクセス情報を利用する人が多い。また、同店も相談に応じてくれる観光コンシェルジュがいる。
3位は山梨県のCave de ワイン県やまなし(ランキング表では省略して表示)。
東京駅の八重洲北口に位置する同店は、日本を代表するソムリエ・田崎真也氏監修が監修し、「食の体感拠点」として2020年にリニューアル。今では物販より、レストランとワインセラーとしての位置づけが濃くなっている。
ランキングの4位から10位までには、各県がアンテナショップの観光機能を高めることに重点を置き、パンるレットの充実や、様々な観光関連のイベントやキャンペーンなどに力を入れている店が多い。
今後もアンテナショップの機能の中で、観光情報の発信の位置づけが高くなっていく店が増えていきそうだ。
※『第8回アンテナショップ利用実態調査2025』では他にも、「飲食をした」や「イベントや試食に参加した」など、計9つの分野別に行動率を測定し、店舗ごとのランキングを作成・掲載している。
調査概要
「第8回アンテナショップ利用実態調査2025」は、20歳~79歳の男女を対象に、2024年10月18日から11月2日にかけてインターネットで調査を実施し、首都圏(1都3県に住む計20,000人を対象として実施し、男女および年代(60歳~79歳は「60代以上」とした)別にそれぞれ均等に回収した。
その中から、不完全回答など信頼性の低い回答を除く計19,784人の有効回答をもとに分析した。
調査対象は東京都にある、道県のアンテナショップで34店。市町村や一般企業が事業主体となっている店舗は対象外とした。
回答者には、それぞれの店舗への訪問経験や、食品分野別の購入経験、併設している飲食店の利用経験などについて聞くとともに、各アンテナショップが運営しているECサイト(ネット通販)の利用経験や、アンテナショップに望むことなどの設問を加えている。
・ 調査方法: インターネット調査
・ 調査対象: 登録調査モニター(約450万人)から首都圏在住で20歳~79歳の男女
・ 総回収数: 計20,000人 (各年代別に男女2000人ずつを回収。60代以上には70代を含む)
・ 有効回答数: 計19,784人 (不完全回答など信頼性の低い回答は集計の対象外とした)
・ 調査時期: 2024年10月18日~11月2日
・ 調査項目:
・全体指標: 都内アンテナショップの利用頻度
・店舗別個別指標:
各店の利用状況: これまでの訪問経験、過去1年間の来店状況
店内での行動: 食品・工芸品の購入、イベント参加、観光情報入手率など
食品分野別の購入:肉製品、魚介類、米、スイーツなど分野別の購入率
店舗イメージ: 立地、品ぞろえ、デザイン、情報など
来店意欲: 各店の再来店意欲、新規来店意欲
飲食経験: 併設飲食店の利用率、飲食店のイメージ
ECサイト利用: ECサイト(ネット通販)の利用率
・分析方法:
単純集計: 項目別に各店の結果、対象店舗の平均
経年分析: 過去5年間の結果の比較(比較可能な項目、店舗のみ)
出店エリア分析: 銀座、有楽町、日本橋、新橋、その他 のエリア別分析
属性クロス集計: 回答者の年代、性別、婚姻、居住地、子どもの有無、
食表、世帯年収、居住環境
属性バランス分析:各店の利用者等の属性のバランス(割合)を比較
その結果からポジショニングマップを作成
調査結果報告書
・総合報告書: 98,000円(税込、送料込)
全調査結果および過去5年分の比較データを収納
A4判カラー、180ページ
・オプション/データCD:33,000円
全店の評価データ、属性クロス、属性バランスを分析・加工できるように
EXCELデータとして一覧表形式で提供(メール送付も可能)
・報告会・セミナー:110,000円 (交通費、報告書は別途)
調査結果を基にセミナーまたは研修会を実施
※金額はすべて税込みです
※ご不明な点がございましたら下記問い合わせ先までご連絡ください。
追加調査(オプション)のご案内
アンテナショップ調査の結果を、さらにご活用いただき、店舗の活性化戦略に活かしていただけるように、以下の4つの
オプションをご用意しています。
その他、課題や予算等にあわせてカスタマイズ可能ですので、ご質問・ご要望等はお問い合わせください。
(1)個別レポート
内容: 今回の調査結果(過去3年分の結果も含む)をもとに、各店舗の現状をまとめたレポート
表やグラフなどを用いて作成
詳細分析するテーマや内容によってカスタマイズ可能です
ページ数:PPTにて、概ね20ページ程度
納品: 発注より約1週間程度
料金: 20万円~(税別。ご注文の分析内容によって異なります)
オプション:調査結果を基にした課題抽出、考察
結果報告会(セミナー)またはワークショップ (オンラインでの開催も可)
(2)各店利用者による追加調査
内容: 今回の調査で、各店舗に「訪問経験がある」と答えた人を抽出し、具体的な利用法や評価
などのほか情報入手手段、観光行動などの質問も設け、その結果をまとめて報告します
調査方法:インターネット調査
回収数: 300~500名程度 (Q1の回収数の50~70%程度の回収を見込みます)
過去の調査での訪問者を追加することも可能です
設問数: 10問~20問
納品物: 調査報告書 (20ページ以上)
納品: 発注より約3週間
料金: 45万円~(税別)
(3)各店利用者への出口調査
内容: 新たに各店舗の来場者に対して行う調査で、店舗来場者の詳細なプロフィールを明らかにします。
また、店舗の利用状況や品ぞろえやデザインなどの評価、イメージ、期待などについても調べ、
より評価の高い店舗づくりの指針づくりにつなげます
調査方法:アンケート配布法 (回収は店舗内または郵送、インターネット等)
回収数: 500名程度
設問数: 10問~20問
納品物: 調査報告書 (30ページ程度)
納品: 発注より約1か月
料金: 55万円~(税別)
(4)店舗の価値測定
内容: 店舗売上以外の、「アンテナ」としての効果を金銭価値として測定します
具体的には情報発信効果、観光誘客効果、店舗外売り上げ効果、イメージアップ効果などを
金銭価値として算出します
価値を測定するにあたり、店舗に関する既存データのほか、メディア露出、来場者データを
活用するほか、上記の調査を実施して算出しますが、データの量が多くなるほど精度および
算出できる価値の種類が多くなります
納品物: 価値測定報告書 (30ページ程度。他に調査報告書あり)
納品: 発注より1~2か月
料金: 180万円(税別)~
お申し込みとお問い合わせ先
下記の申込書にご記入のうえFAXまたは、メールにてお申込み下さい
株式会社ブランド総合研究所 (担当:加藤)
Tel. 03-3539-3011(代)
Fax. 03-3539-3013
E-mail: project(アットマーク)tiiki.jp
※(アットマーク)を@に変えて送付ください
Homepage: https://tiiki.jp(企業)
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第8回アンテナショップ利用実態調査2025 特設サイト
第7回アンテナショップ利用実態調査2023 特設サイト
第6回「アンテナショップ利用実態調査2022 結果概要
~1年間に首都圏の30%が利用~
・福井県の期間限定アンテナショップがオープン。まるで本格的
・都道府県アンテナショップでクーポン活用などのキャンペーン続々
・沖縄県「わしたショップ」が2月に有楽町・交通会館に移転
実際に過去1年間で都道府県アンテナショップを来店・利用した人が、そのお店でどんな行動をとったのかを調査さしたところ、「食品を購入した」が65.6%で最も割合が高かったが、「観光パンフレットや情報を得た」と回答した人が17.0%と、「飲食した」と回答した人に匹敵するくらい多かった。
つまり、アンテナショップに来店した人の約6人に1人が、そこで観光情報を入手していることになる。さらに、「市町村のパンフレットや情報を得た」も11.2%いる。