地域の輪に触れ、移住・就農希望も
ブランド総合研究所は、農林水産省の「地域活性化対策」事業の採択を受け、沖縄県糸満市、山口県宇部市、宮城県登米市、熊本県阿蘇郡小国町、長崎県大村市の協力を得て、関東地方を中心に農業インターンシップ参加者を各地域で受け入れている。同事業は、農山漁村への就農・移住促進のため、大都市圏と政令指定都市に住む人を対象にしており、研修内容は一次産業の農業だけにとどまらず、食と農のビジネスに触れ、直売所での販売や、加工食品づくり、農家レストランでのサービス、動画制作など、実践的な6次産業化を学ぶ内容となっている。
観光農業でお客様に感動を
大村湾を望む大村市北部の福重地区に、年間 49万人が訪れる 3000 坪の観光ファーム「おおむら夢ファームシュシュ(以下シュシュ)」がある。(フランス語で「お気に入り」という意味)
1次産業の農業から、観光農園、季節のアイスクリームやジェラートを販売するアイス工房をはじめ、大村市内で採れた旬の野菜・果物を使用したパンを販売するパン工房、スイーツを販売する洋菓子工房、新鮮な野菜やオリジナル加工品を揃えた生産者のみえる直売所や農家レストランなどを運営し、6次産業を実施している。
また、ハンバーガー作り、ウィンナー作り、パン作り、ピザ作り、いちご大福作り、大村寿司などの料理・郷土料理体験、果物(いちご、ぶどう、梨)の収穫体験など、県内外の人たちが集う食農体験を開催している。
消費者の目線が生産者の目線に変わるとき
シュシュを拠点として、大村市で開催された就農・食農体験研修は、当初は3週間を予定していたが、緊急事態宣言を受け、2021年1月25日~2月5日まで、オンラインで開催された。東京、大阪、福岡の都市部より8名の研修生が参加した。
オンライン研修は、大村市長のメッセージ動画からスタート。大村市の魅力や今後の未来を語る市長に、コロナ禍ではあるが、状況に対応しながらの、あたたかい魅力を感じられる研修のスタートとなった。
オンライン研修では、座学をメインに、いちごや梨農家さんから農業講習や、移住コーディネーターのお試し住宅紹介、大村市新規就農に関する大村市職員との相談会、加工品講座、農泊を営む農家さんの紹介など、それぞれの専門家との交流を通して、大村市に行って体験・経験したいと思いを深める内容となった。
また、オンライン研修を終え、3月8日~12日から実施された現地研修では、研修生自ら研修実施場所を提案するなど、各々が事前に地域を調べ実際に現地を通して人とのつながりを強めていった。
現地研修では、バナナ、ドラゴンフルーツ、観葉植物、シイタケ菌打ち、じゃがいも植え付け、甘夏収穫、イチゴの摘果など、農業研修だけにとどまらず、農泊を運営する農家さん宅へのヒアリング、大村市に移住した際に困らないように、大村市内視察など多岐に渡る研修内容となった。
中でもワークショップを通して自分の考えを人に伝えることや受け入れることを学んだ研修生も少なくない。農業は人とのつながりが大切になり、それぞれの成長の全体像を知ったうえで、歩幅に合わせることは作物も人も変わらない。
いちご狩り体験への付加価値や、加工食品の差別化を議論する中で、消費者目線であったが生産者の目線で考えられるようになったという声が上がった。
また、シュシュおよびグリーンツーリズム協議会の協力のもと、移住、定住、就業に向けた様々な支援・サポート制度などについて、具体的なアドバイスなども得られ、移住・就農・農業・食農体験の理解を深める内容となった。
佐藤さん、西村さん(シュシュ)より「海と山に囲まれた自然あふれる大村へぜひお越しください!新規就農大歓迎です」
シュシュのスタッフや新規就農予定者が食農体験ソムリエに合格しました