地域の輪に触れ、移住・就農希望も
ブランド総合研究所は、農林水産省の「地域活性化対策」事業の採択を受け、沖縄県糸満市、山口県宇部市、宮城県登米市、熊本県阿蘇郡小国町の協力を得て、関東地方を中心に農業インターンシップ参加者を各地域で受け入れている。同事業は、農山漁村への就農・移住促進のため、大都市圏と政令指定都市に住む人を対象にしており、研修内容は一次産業の農業だけにとどまらず、食と農のビジネスに触れ、直売所での販売や、加工食品づくり、農家レストランでのサービス、動画制作など、実践的な6次産業化を学ぶ内容となっている。
滋賀県東近江市、長崎県大村市は11月中旬より募集を開始した。(終了)
農業の産業化を目指して
宮城県仙台市から約70km北部に位置する登米市・伊豆沼。この沼のほとりに伊豆沼農産が運営する「くんぺる」がある。「くんぺる」は伊豆沼農産の施設の総称で、ドイツ語で「仲間」という意味をもち、農畜産物の生産・加工・販売までのさまざまな過程で地域内外の人々をつなぐ役割を担っている。
自分たちで作ったものは、食べてくれる人の口に届くまで責任をもつという気持ちを込めて、直売マーケットと農場レストラン、体験教室、通販サイトなどを運営している。地域農家の所得の増大、生産意欲、生産力向上を目的として、登米市地域の農畜産物や加工品などを販売している。食品流通および飲食、観光の中心施設として展開している「くんぺる」は、農産品生産、販売だけにとどまらず、体験施設を活用し、ソーセージづくりや、ブルーベリー狩り、稲作体験、れんこん収穫体験などの食農体験をおこなっている。
また、インバウンド受入のためのグランピングをはじめ、重度身体障がい者が分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を活用して「遠隔接客」を行う農福連携の実証実験を行うなど、農業の新しい可能性へと着実に歩みを進めている。
そんな県内外の人が集う「伊豆沼農産(くんぺる)」を拠点に、2020年11月16日から12月4日まで、神奈川や仙台を中心に3人の研修生が食と農のビジネスで、地域との関わり方を学ぶため、登米市に3週間滞在した。
登米市での研修内容のテーマは、「農村の資源を活用した新しい農村産業の取組みにふれる」こと。
11月の登米市では農閑期を迎え、農業研修は難しい。また、地元住民との交流が魅力の民泊が新型コロナウイルスの影響で断念せざるを得なかった。しかしながら、登米市の農産物を使った料理体験や加工、直売マーケットや農場レストランでの接客、加工品の出荷作業など、普段の生活では体験することができない様々な職業研修が開催された。また、登米市内の宿泊先から登米市民バスで通勤するなど、地方での生活体験も味わった。
「自治体を中心にIターン、Uターンなど地域の復興に取り組んでいることがよくわかった、登米市でやってみたいことがある、実現したいので今後も関わっていきたい、自社の生産物および、地元の食材を用い、郷土料理なども提供する「農家レストラン」は利用者の視点からも大変魅力的。また、地域の食文化や、雇用も創出など地域社会へも大きな貢献になっている。」など
佐藤裕美さん(伊豆沼農産)より「生産から加工、販売、誘客事業まで幅広く研修してもらいました。研修メニューをこなすのではなく、外からの目線でより良いものにしようと取り組んでくれたのが印象的でした。このご縁をつないで、都市と農村の交流を活発化させていきましょう!」