日本政府観光局によると、2019年6月の訪日外国人数(推計値)が前年比の6.5%増の過去最高の288万人となった。また2018年末時点での日本に在留する外国人は273万1093人(前年比16万増)となり過去最高記録を更新している。(出入国在留管理庁発表)
特に中国では新規就航や増便による航空座席供給量の増加に加え、1月から開始した個人査証の発給要件緩和の後押しもあり、前年同月比の15.7%の高い伸び率を記録した。市場別では、中国で単月として過去最高を記録したほか、16 市場(韓国、台湾、香港、シンガポール、フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、スペイン)で 6 月として過去最高を記録した。
梅雨の比較的旅行客が伸び悩む時期ではあるが、特に親日国として知られ世界第3位と言われるベジタリアン大国の台湾からの訪日客数は6月に461,100人が訪れている(0.9%増)。
昨年と比べると上昇率は伸び悩むが、地方への新規就航や増便、チャーター便の運航により、航空座席供給量が増加があり、訪日者は前年同月を上回った。
台湾からの訪日観光客の特徴は、リピーター数が多く、日本語への慣れからか、自ら日本語で個人旅行を申し込み地方に出かける人も多い。
中国語を話すから中国人なんだなと決めつけるのは、とうの昔に過ぎ去り、今では、首都圏・地方の旅行客は台湾人であることも多くある。
その台湾人もベジタリアン数は約12%と知られ(European Vegetarian Union)、台湾素食といった菜食主義食文化があることを知っている人も少なくない。
牛肉麺やソーセージ、フライドチキンが夜市で目立つ台湾ではあるが、しかしながら実は、仏教・道教・一貫道などの宗教の影響や、動物愛護の影響から菜食を選ぶ傾向がある。一般のレストランの中には「全素(チェンスー(動物性食品不使用)」というメニューを取り扱う菜食メニューがある。
このように、訪日外国人が増加する中、様々な食文化や食習慣などに対応する飲食店や新商品を販売する企業が日本国内に増えつつある。
アジアを筆頭に、フィリピン、ロシア、インド、ベトナム、英国と前年比の20%を超える諸国の人が訪日している中で、宿泊場所以外に、ハラル、ベジタリアン、ヴィーガン、グルテンフリーなど食の課題が浮き彫りになっている。
訪日外国人の中には、日本の食べ物がよくわからないから、コンビニで成分や原材料が記載されているものを選んで、ホテルで食べる人もいる。
特に、地方では、日本語メニューだけで写真もないような飲食店も多くあり、せっかくの日本の高い調理技術や衛生対策、おもてなしの配慮があるにも関わらず、集客の機会を損失してしまうこともある。
食品メーカーが相次いでリリースする、ハラル弁当や大豆ミートなどの代替肉、グルテンフリー商品などと比べると食の多様化に対応した飲食店の数はまだまだ少ない。
2020年、東京オリンピック・パラリンピックまであとわずか(2020年7月24日~8月9日/8月25日~9月6日)インフラ、ホテルだけではなく、「食のおもてなし」である飲食店へのフードバリアフリー化が急がれる。
出典「日本政府観光局(JNTO)」