日本政府観光局(JNTO)は2018年の訪日外国人客(インバウンド)数の年間推計値が前年比8.7%増の約3119万人となったことを発表した。
2018年は台風21号やそれに伴う関西空港の閉鎖、北海道胆振東部地震などの影響を受け、9月が前年比でマイナスとなるなど夏場を中心に観光客数の落ち込みが顕著となったが、上半期の好調さが影響して、年間では8.7%と2017年の19.3%と比較すると伸びは鈍化したものの、プラスの伸びとなった。
国別では香港が前年比1.1%減の220万人となるなど東アジア市場を中心に落ち込みが見られたが、年間を通じては多くの国・地域では堅調な伸びを示している。
国別で最も多いのは中国で、年間838万人となり前年比13.9%の伸び。2月に対前年同月比で40.7%増、4月から6月はいずれも29%を超える増加となったが、8月以降は失速気味となっている。次に多いのは韓国の754万人で前年比5.6%増。2017年は対前年比で40%を超える伸びを示していたが、7月から11月はいずれも対前年比でマイナスとなった。政治面での対立が水を差した可能性もある。
逆に最も伸びが大きいのはベトナムで、前年比26.0%の約39万人と急増した。アジアではフィリピンが同19%増の50万人、タイが15%増の113万人、インドが15%増の15万人だった。
欧州では、ロシアが同23%の9万人、イタリアが19%増の15万人、スペインが19%増の12万人となった。
政府が外国人観光客の誘致の一環としてビジット・ジャパン・キャンペーンを開始したのは2003年で、この年は年間521万人だった。それから15年間で約6倍と急増しているが、政府はさらに2020年には4千万人の目標を掲げている。
目標達成のためには年に約15%ずつの伸びが必要となるが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが起爆剤となることが期待されている。
政府観光庁では、19年度のインバウンド施策として
- デジタルプロモーションの強化やスマートフォンを活用した旅行環境の整備
- 地方での旅行満足度の向上(文化財や国立公園の案内・解説の多言語化、夜間観光の活性化などを通じたコト消費拡大)
- 地方での滞在日数の増加(古民家の活用による高付加価値な宿泊施設の創出、旅館の生産性向上など)
の3点を掲げるなど、地域でのインバウンド活性化を重視している。