2015年7月から8月にかけて、全国の道の駅、農産物直売所、体験ファームなど3117の施設を対象として、食や農にまつわる体験の実施状況についてのアンケート調査を実施した。(有効回収数977、回収率31.3%。詳細な調査概要は下記を参照)
今回の調査から、約50%の施設で食にまつわる体験プログラムを実施していることがわかった。さらに、今後体験プログラムを新たに開発または拡大・充実させることを「特にやりたいと思わない」と回答した施設はわずか2.3%となっており、約90%の施設が体験の拡充・推進に対して関心を持っていることがわかった。
一方で、体験プログラムの難しさや課題も見えてきた。スタッフの不足や、収益性の低さ、地域の生産者など協力者の不足、季節による変動、集客、農地や施設の不足など、多岐に渡る悩みが浮き彫りになった。
スタッフ不足に関しては、体験専門スタッフを拡充したくても、収益性が高くないために補充人員分の人件費がまかなえない。また、お客様増加のためにプログラム数をある程度増やす必要があるけれども、協力者が不足していて広がりが出てこない。どのようにPRしていいかもわからない。結果として、「施設はあるし、やる気も十分。しかし、足踏み状態。」これが現状のようだ。
事実、全国的に見て、体験をビジネスとして継続的に実施している施設は、伊賀の里モクモク手づくりファームや、おおむら夢ファームシュシュなど、多くはない。しかし、これらの施設では、体験を商品化しているばかりでなく、客単価の向上と、担当者の負担軽減、さらに地域のネットワークづくりなどを、同時に解決できる仕組を作り上げている。つまり、食農体験は、地域を活性化するための一つの強力な手法となることは明白なのだ。体験を通じて、地域の農産物に対する理解を深め、滞在時間を延ばし、お客様の満足度を高めて、ファン増につなげる。さらに、農家民泊等と連携できれば、地域のさらなる活性化につながる。
では、仕組みづくりのために、何をしたら良いのだろうか?アンケート調査では、体験を効果的に充実させるための方法として、「人気直売所のノウハウ講習やセミナー」、「先進地域での研修プログラム」などが挙げられた。
弊社では、平成28年3月2日に、東京の都道府県会館において、食農体験を食育や地域活性化に活かすための仕組をどのように作り上げていったら良いのかに関するフォーラムを開催する。体験に関心を持つ実務者に加え、観光・行政など、幅広い業界を対象としている。フォーラムでは、おおむら夢ファームシュシュの山口社長からの講演、アンケート調査を踏まえた直売所や道の駅における体験の実態についての詳細な解説を始め、農林水産省の制度的な側面についての説明を行う。さらに、パネルディスカッションを通じて、食農体験を食育として、或いは観光として展開し、地域活性化へつなげていくために、様々な視点から議論を行う。体験を活用して地域を活性化するために、参加いただいた皆様の課題解決に少しでもお役に立てればと願っている。(参加をご希望の場合は、下記お問合せ先までご連絡ください。)
<食育活用フォーラム参加お問合せ>
事務局:㈱ブランド総合研究所
担 当:平野、網野
電 話:03-3539-3011
Email:nst@tiiki.jp
詳細はこちら
<調査概要>
①調査期間:平成27年7月10日~平成27年8月4日
②配布方法:郵送法
③調査内容:施設概要、体験プログラムの実施状況、実施体験プログラムの内容、体験プログラムの課題や今後の展望について
④調査対象:全国3,117施設
・直売所等 1,723施設(都市農山漁村交流活性化機構データベースより弊社抽出)
・道の駅 1,059施設(全ての道の駅を対象)
・体験ファーム 174施設(農林水産省データベースより弊社抽出)
・漁業系施設 161施設(漁協データベースより弊社抽出)
⑤回収数と回収率 (回収数977のうち有効回答数970)
文責:網野善久
食農体験実施率50%。課題は人材と収益性~食育アンケートより~
2016年02月23日更新
2015年7月から8月にかけて、全国の道の駅、農産物直売所、グリーンツーリズム実施施設など約3,000施設を対象として、食や農にまつわる体験の実施状況についてのアンケート調査を実施した。
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