能登半島地震と北陸新幹線延伸効果で、石川県など北陸3県の関係人口が増加する一方で、全国で32都道府県の関係人口が減少している――。ブランド総合研究所が実施した「関係人口の意識調査2024」から、このような関係人口の実態が明らかになった。この調査は、2021年から毎年実施しており、4回目となる今回の調査は、全国に居住する18歳から79歳までの男女を対象として、インターネットを使い、2024年2月2日~4日に実施。有効回答数17,686人の有効回答数をもとに、47都道府県のそれぞれの関係人口の人数の推定と、居住意欲や訪問意欲、情報ニーズなどの意識を明らかにした。
◆石川県が急増。富山、福井も増加
各都道府県の出身者(居住者を除く)と応援者(居住者および出身者を除いた都道府県で「応援したい」と思っている人)の両方を「関係人口」として推計した。
その結果、全国で最も関係人口が多かったのは石川県で、昨年96万人から大幅に増加して1831万人。2番目に多かったのは北海道の591万人の3倍を超えています。また、東京都(512万人)、大阪府(369万人)などの大都市よりはるかに多い関係人口を有しているという結果になった。
石川県は前年からの伸びでも圧倒的に多かったが、富山県(28万人増)や福井県(25万人増)など、北陸3県が上位を独占した。能登半島地震以外に、北陸新幹線延伸によって、北陸地方へのアクセスが向上し、観光面などでもクローズアップされたことが要因と思われる。
◆7割の都道府県では減少
関係人口が増加した都道府県は15県で、およそ7割に当たる32都道府県は減少している。最も減少率が大きいのは福島県で、前年比29.4%減の197万人で、2021年の1229万人をピークに3年連続での減少となっている。
また、佐賀県、茨城県、島根県、宮城県なども20%以上、神奈川県、京都府、東京都、大阪府などの三大都市圏の都府県も大きく減少している。
関係人口は「人口減少時代における地域活性化の切り札」と言われており、多くの地方自治体において関係人口の創出に関する様々な取組がされている。ところが、今回の調査結果からは、それらの取り組みが実際の関係人口の増加にはつながっていない可能性がある。
◆居住系の関係人口がほぼ半数を占める
関係人口のうち、出身者以外の応援者と都道府県との関係を分析したのが右のグラフ(数字は47都道府県の平均)。最も多いのは「家族や親せきがいる」で24.5%。また「親しい友人や家族がいる」は11.9%、「過去に1年以上住んでいた」15.7%などの“居住系”の関係(棒グラフでは青色で表示)が多く、4項目のうちいずれかを選んだ人は半数近い46.0%を占めている。
「観光で何度か訪れた」の21.8%など“訪問系”(同赤色)も43.4%と多い。
一方で、「ふるさと納税をしたことがある」は4.6%、「応援している人物やチームがある」などの“活動系”は居住系や訪問系ほど多くはないが、一定以上の割合を占めている(いずれも複数回答のため、合計は100%を超える)。
◆家族や親せきが多いのは鹿児島
こうした関係性の状況は、都道府県によって異なっている。例えば「家族や親せきがいる」と答えた応援人口の割合が最も高いのは鹿児島県で、40.2%、次いで秋田県、山形県の順で高くなった(右の表は関係性の項目別の上位ランキング)。
「親しい知人や友人がいる」が最も高いのは神奈川県の21.1%で、次いで埼玉県の20.9%、新潟県の18.9%となり、家族や親せきの場合とは大きく異なる結果となった。
なお、「過去に住んでいたことがある」や「通勤通学していた(している)」などは三大都市圏の各都府県が上位を占めるなど、“居住系”であってもその内容によって大きく異なっている。
◆定期的に観光訪問は長野県が最多
「定期的に観光で訪れている」の割合が最も高いのは長野県で19.4%、次いで奈良県、京都府が高くなった。一方で、「観光で何度か訪れた」が最も高いのは沖縄県で44.2%、次いで京都府、北海道の順になった。
◆人物やチームは広島、ふるさと納税は高知
「応援している人物やチームがある」が最も高いのは広島県で21.6%。2位以下と10ポイント以上の差がある。次いで千葉県、神奈川県。いずれも野球とサッカーのプロチームがある。
「応援している企業や商品がある」では、1位が大塚製薬の創業地である徳島県で10.3%。次いで岐阜県、兵庫県となった。
「ふるさと納税をしたことがある」人の割合が多いのは高知県で15.9%。次いで北海道、福井県、宮崎県の順となった。「ボランティアに参加したことがある」は滋賀県が6.1%と最も多く、次いで徳島県、兵庫県の順で多かった。
◆関係人口のUIターン意欲は3割
関係人口に対し「住んでみたいと思いますか」という問いに対し、「ぜひ住みたい」、「できれば住みたい」、「住んでもいい」、「どちらとも言えない」、「あまり住みたいとは思わない」の5 段階で回答してもらった。その結果を出身者と応援者に分けて分析してみた。
出身者で「ぜひ住みたい」との回答は16.6%、「できれば住みたい」は13.9%で、計30.5%と3割を超える人が居住意欲を持っているという結果になった。一方で応援者は「ぜひ住みたい」が12.3%、「できれば住みたい」が11.6%で合計では23.9%。
一方、本調査では「出身者でも、応援者でもない」広義の関係人口、つまり都道府県となんらかの関係があるだけの人を算出したところ、47都道府県平均では人口のおよそ半数近くにもなり、絞り切れないという結果になった。
関係人口の創出や活性化の取り組みを行うにあたっては、単に地域との関係があるだけではなく、「応援したい」などの能動的な強い意識や、定期的な訪問やボランティアなどの行動を伴う人をターゲットに絞り込むことで、移住・定住への効果拡大につながる可能性はある。
<本調査における、関係人口の定義>
各都道府県の出身者(非居住者)と応援者(居住者および出身者を除いた都道府県で「応援したい」と思っている人)の両方を「関係人口」とした。応援者はその都道府県との関係性から、以下のように分類した。
居住系:過去に居住、通勤・通学経験あるか、親族や知人がその都道府県にいる
なお、本調査では最も応援したい都道府県以外で都道府県となんらかの関係のある人を“広義の関係保持人口”として推計している。
<調査概要>
調査方法:インターネット調査
調査対象:登録調査モニター(18歳以上79歳以下))から年代・男女別にほぼ均等に回収
有効回答数:17,686人 ※外国在住者を除くと17,568人
調査時期:2024年2月2日~2月4日
調査項目:地域との関係性、訪問状況、移住意欲、地域での活動状況、地域活動の意欲、情報接触
経路情報ニーズ、地域の魅力(他に年代・居住地等の回答者属性)
<調査報告書のご案内>
総合報告書:77,000円(税込) A4判約180ページ (電子データは+22,000円)
個別報告書:55,000円(税込) A4判約20ページ (電子データは+22,000円)
基本セット: 99,000円(税込) 総合報告書+個別報告書 (電子データは+22,000円)
【市区町村向け調査パッケージ(別途調査を実施)】 297,000円(税込)~
ご希望エリアの1万人+全国の1万人=計2万人の調査を実施し、関係人口の推計等を行うパッケージです(推計結果から実態分析等を行うパッケージもご用意しています)。
※詳細は特設ぺージに掲載します。
申し込み・問い合わせ
お申込み:関係人口の意識調査2024 申込フォーム
お問い合わせ:
株式会社ブランド総合研究所
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1丁目1-20
TEL:03-3539-3011 FAX:03-3539-3013
E-mail : project★tiiki.jp(★を@に変換してください)
担当:石原
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◆石川など北陸の関係人口は増加。32都道府県で減少 (関係人口の意識調査2024)
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◆Uターン意欲ランキング1位は福岡県。全国平均で出身者の22%にUターン意欲あり (関係人口の意識調査2023)
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大阪、京都の応援者が急増(関係人口の意識調査2023)
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