47都道府県のそれぞれの関係人口の推定と、居住意欲や訪問意欲、情報ニーズなどの意識を明らかにする「関係人口の意識調査」を実施したところ、各都道府県の関係人口(出身者と応援者の合計)は平均で189万人いることが判明しました。
ところが、その7倍を超える1290万人は各地との何らかの関係性がある、いわば「潜在関係人口」がいることが判明しました。さらに訪問経験のある「交流人口」は2580万人と推計されました(いずれも47都道府県平均)。
こうした関係人口の26.2%、潜在関係人口でも15.5%が「住みたい」との居住意欲があるのに対し、交流人口は4.2%、関係性がない人は2.9%しか居住意欲がありませんでした。地域活性化の担い手とされている「関係人口」をUIターンにつなげるには、いかに彼らを「本気」にさせるかが決め手のようです。
なお、関係人口が最も多いのは1月に大規模な震災に見舞われた石川県で1831万人。潜在関係人口が最も多いのは東京都で3208万人、交流人口が最も多いのは京都府で4989万人でした。
本調査は2021年から毎年実施しており、2024年の調査で4回目となります。全国に居住する18歳から79歳までの男女を対象として、インターネットを使い、2024年2月に実施。有効回答数17,686人の有効回答数を得ています。
関係人口、潜在関係人口とは
では、関係人口が多い都道府県とはどこだろうか?
石川県は関係人口が約20倍に急増
全国で最も関係人口が多かったのは石川県で1831万人と推定され、昨年の推定人口96万人と比較するとおよそ20倍に急増しています。年初の震災により「ボランティアなどで応援したい」との意欲を持つ応援人口が増えたことが原因で、特に関東在住者に多いのが特徴です。
次いで多いのは北海道で591万人。そのうち108万人が出身人口で、483万人が応援人口です。3番目に多いのは東京都の512万人で、出身人口が346万人と、応援人口(167万人)より多いのが特徴です。4位の沖縄県(445万人)も石川県と同様に応援人口が420万人と多くなっています。
前年からの増減をみると、石川県のほか、富山県(28万人増)や福井県(25万人増)など、北陸3県が上位を独占する結果となっています。
北陸地方では、能登半島地震の影響や、北陸新幹線延伸によるアクセスが向上し、観光面などでもクローズアップされたことが要因と思われます。
なお、47都道府県平均では188万人で、前年より23万人増加しています。
潜在関係人口は3大都市圏が上位に
一方で、居住者や関係人口以外の人で、各都道府県と何らかの関係がある人、すなわち「潜在関係人口」を推定してみました。その結果、最も多いのは東京都で3208万人。以下神奈川県、大阪府、愛知県など3大都市圏が上位を独占しています。なお、47都道府県平均では1290万人となりました。
また、交流人口(観光やビジネス等で訪問経験のある人で、居住者、関係人口、潜在関係人口ではない人)を推計してみたところ、最も多いのは京都府でおよそ5000万人。次いで奈良県、長野県の順に多い結果となりました。47都道府県平均では2580万人と推計されました。
関係人口の26%が居住意欲あり
関係人口に対して、関係している各都道府県への居住意欲について聞いたところ、13.8%が関係している都道府県に「ぜひ住みたい」、12.4%が「できれば住みたい」と回答しました。つまり、合計では関係人口の26.2%に居住意欲があることになります(右の一番上の図)。なお、回答者は複数の都道府県の潜在関係人口になっている可能性があり、その場合は複数の都道府県に対しての居住意欲を回答しています。そのため、総回答数は調査全体の回答者数より多くなっています。
都道府県別で最も「ぜひ住みたい」との回答が多かったのは福岡県でおよそ3割にあたる28.8%でした。次いで千葉県が28.1%、東京都が25.7%と続きました。
同様に潜在関係人口の意向については、「ぜひ住みたい」が5.6%、「できれば住みたい」が9.9%。合計では潜在関係人口の15.5%に居住意欲があることになります。
これらの結果から、関係人口および潜在関係人口ともに関係している各地域への居住意欲はかなり高いことがわかります。人口減少に悩む地域は、その地域の関係人口および潜在関係人口に対して、居住につながるような機会を設けることで、実際にUIターンにつながる可能性が高いことが、本調査で明らかになりました。
観光意欲があるのは、関係人口の67%
次に、関係人口および潜在関係人口の、関係している都道府県への観光意欲を聞いた結果をまとめてみました。
関係人口の半数を超える50.7%が「ぜひ行ってみたい」、16.6%が「できれば行ってみたい」と回答するなど、非常に高い観光意欲があることがわかりました(さらに「機会があれば行ってみたい」を加えると86.2%にもなります)。
潜在関係人口に関しては31.9%が「ぜひ行ってみたい」と回答し、「できれば行ってみたい」の23.3%との合計では半数以上の55.2%に観光意欲があるという結果になりました。
観光での活性化をめざす地域にとっては、関係人口に対してアプローチすることはとても効果的な方法であると言えそうです。
調査概要
<調査概要>
調査方法:インターネット調査
調査対象:登録調査モニター(18歳以上79歳以下))から年代・男女別にほぼ均等に回収
有効回答数:17,686人 ※外国在住者を除くと17,568人
調査時期:2024年2月2日~2月4日
調査項目:地域との関係性、訪問状況、移住意欲、地域での活動状況、地域活動の意欲、情報接触
経路情報ニーズ、地域の魅力(他に年代・居住地等の回答者属性)
<調査報告書のご案内>
総合報告書:77,000円(税込) A4判約180ページ (電子データは+22,000円)
個別報告書:55,000円(税込) A4判約20ページ (電子データは+22,000円)
基本セット: 99,000円(税込) 総合報告書+個別報告書 (電子データは+22,000円)
【市区町村向け調査パッケージ(別途調査を実施)】 297,000円(税込)~
ご希望エリアの1万人+全国の1万人=計2万人の調査を実施し、関係人口の推計等を行うパッケージです(推計結果から実態分析等を行うパッケージもご用意しています)。
※詳細は特設ぺージに掲載します。
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E-mail : project★tiiki.jp(★を@に変換してください)
担当:石原
「関係人口」は各都道府県の出身者と応援者(各県を一番「応援したい」と思っている人)と定義しました。もちろん、現在その都道府県に居住している人を除きます。
「潜在関係人口」は自分自身や親類・知人の居住経験がある人や、応援している企業・個人・チームがあったり、ふるさと納税を行った経験があったりする人など、各県と関係性を持つ人のことです。ただし、上記の関係人口や居住者を除きます。
「交流人口」は観光・ビジネスなど目的や頻度を問わず訪問経験のみがある回答者としました。その際、居住者や関係人口、潜在関係人口は重複しないように省きました。
これらを都道府県別に調査結果をもとに推定した結果が、右の図の中の人口となりました。もちろん、各都道府県によって人口構成や状況などは異なっています。