多くの方に注目されている「都道府県魅力度ランキング」は、いつも最下位などがクローズアップされて、上位についての報道はそれほど多くはありません。
通常のランキングは、上位のトップ5が注目されるもので、1位になったら関係者が大喜び、というのが一般的なのですが、どうしてでしょうか。
(私もよく質問されます)
なぜランキング上位は注目されない?
その理由は、ズバリ、ずーーーーーっと北海道が1位だからではないでしょうか。
都道府県の調査を始めた2009年からこれまで、14年連続で1位は北海道です。そして2位もすべて京都府。つまり、ランキングの1位と2位に変動がないのです。
(2006年の第1回目の調査から2008年までは市区町村だけを対象としていました)
3位は2009年から2014年までは沖縄県、2015年から2019年までは東京都、そして2020年からは再び沖縄県と、2度入れ替わっていますが、他の府県が割り込むことはありませんでした。
そこで、過去14年間の上位の変動をグラフ化してみました。
大阪府と福岡県が上昇中。長崎県は2015年に5位に大躍進。
この上位ランキングを見ると、オレンジ色の大阪府が2015年の9位から右肩上がりの上昇中で、2021年からはついに5位にまで上り詰めているのが目につきます。
この上昇の大きな要因と思われるのは、2025年に迫っている「大阪万博」だろう。正式名称は「2025年日本国際博覧会」で、公式略称は「大阪・関西万博」です。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに2025年4月13日から10月13日までの半年間、大阪市の人口島・夢洲で開催されます。
同様に上昇中なのは福岡県です。2010年雄12位から急上昇して2013年には7位に。そしてから2021年からも7位をキープしています。
2011年に九州新幹線が開通、同年にプロ野球の福岡ソフトバンクホークスが日本一になっています。なお、地域ブランド調査の回答者の中で、九州・沖縄県在住者の回答だけで分析すると、福岡県の魅力度は北海道についで2位と高いです。
各県の上位の順位グラフの中で、その変動が際立っているのは長崎県。2015年にいきなり5位(2014年は10位)と急上昇している。ここまで順位が急増している県はない。
この年の急上昇の要因は、「軍艦島」(正式名:端島)などが「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」がユネスコの世界文化遺産に登録されたことであるのは間違いない。
強いブランドは揺るがない。上位は変わらないのは「ブランド」の証拠
さて、話を本題に戻します。
都道府県の魅力度ランキングで、上位があまり変動しない理由は、ズバリ「強い地域がブランド化している」からです。
ある商品において、継続的に購入や利用する(あるいは希望する)「ロイヤルユーザー」が多ければ「強いブランド」と言えます。そのためには、商品の品質やイメージへの評価が高く、他にはない魅力(差別的優位性)やゆるぎない信頼が寄せられている必要があります。
地域の場合も同様で、その地域のイメージや地域資源への評価などが高く、観光や、産品購入などへの意欲が高い消費者が多い場合、その地域は「強いブランド」であるということになります。
つまり、北海道や京都、沖縄、東京などは強いブランドとして評価されているからこそ、順位などが変動しにくいということなのです。
言い換えれば、だからこそ、地域はよりよいブランドを構築すべきということになります。
では、強いブランドに必要なものは何か。その一つは前出の「差別的優位性」、つまり他にはない魅力である。北海道や京都、沖縄、東京には、それぞれ他の地域にはない特別な魅力がある。
もちろん、日本の各地にはほかの地域にしかない魅力(プレミアム)があることが多い。その魅力を多くの人に伝えるとともに、訪問(観光)や商品の販売、居住(移住)にいかに活用し、地域の活性化につなげるような戦略が必要だ。
地域ブランド調査2023は10月発表!
◆調査概要◆
調査方法: インターネット調査
回答者: 年齢20代~70代の消費者を男女別、各年代別、地域別にほぼ同数ずつ回収。
※日本の縮図になるように、年齢や地域人口の分布にあわせて再集計(ウェイトバック集計)。
有効回収数: 34,117人
※1人の回答者は市区町村の調査票の場合20の地域について回答。1地域の平均回答者数は約618人
※同じく都道府県の調査票の場合は15または16の県について回答。1地域の平均回答者数は約1,078人
調査対象: 全国1,000市区町村(全792市+東京23区+185町村)と47都道府県
調査時期: 2023年6月20日~7月3日
◆調査項目◆
地域ブランド調査は、地域のブランド力を消費者視点で評価・測定する仕組みとなっています。
調査対象となる1047地域に対して、「認知(地域が知られているか)」、「魅力(地域がどのように評価されているか)」という大きく分けて二つの指標、89項目を設定しました。
「魅力度」では、その地域が魅力的かどうかを問い、さらにその魅力が何に起因するかを、居住意欲度、観光意欲度、産品購入意欲度、またイメージ想起率といった様々な項目を設け明らかにします。
また、調査では出身都道府県など回答者属性の設問も設け、どのような属性から認知・評価されているかも分析できるように設計しています。