MENU
【弊社社員を装った迷惑メール(なりすましメール)にご注意を】 添付ファイルの開封や記載URLへのアクセスを行わず、メールを削除していただくようお願い致します。
福井県(29位)魅力度の伸び全国1位! 新幹線より恐竜

福井県(29位)魅力度の伸び全国1位! 新幹線より恐竜

今年の調査で、全国47都道府県の中で、最も魅力度の伸びたのは福井県だった。福井県を「魅力的」と答えた人が2014年には16%だったが、2015年には24%にと1.5倍に増えた。これによって、魅力度ランキングは昨年の45位から29位と大幅に上昇した。 

今年の調査で、全国47都道府県の中で、最も魅力度の伸びたのは福井県だった。

福井県を「魅力的」と答えた人が2014年には16%だったが、2015年には24%にと1.5倍に増えた。これによって、魅力度ランキングは昨年の45位から29位と大幅に上昇した。

福井県の魅力度が大きく伸びた要因として、今年3月に金沢駅まで開通した北陸新幹線による波及効果だと思う人は少なくないだろう。確かに、関東に居住している人からの評価が高まっており、2014年に5点だった魅力度が15年には10点と倍増しており、順位も最下位の47位から38位へと大幅に上昇していることから、新幹線効果が表れたと考えられなくもない。

ところが、石川県や富山県の場合も関東居住者からの観光意欲度がは上昇がみられたが、その一方で魅力度そのものはあまり大きく伸びていない。

つまり北陸新幹線は「観光」という直接的な効果はあるが、魅力度そのものを高める効果はあまり強くないという傾向があることになる。

しかし福井県はそうではない。 関東居住者からの観光意欲度43位から41位へと上昇しているが、魅力度の伸びはそれを大きく上回っている。すなわち今回の福井県の魅力度の上昇は、新幹線以外の大きな要因があるということになる。

◆恐竜王国に延べ700万人

そこで浮かび上がるのは、福井県が大きく力を入れている「恐竜」による効果だ。

2000年7月に福井県勝山市に開設した福井県立恐竜博物館は、長さ84㍍、幅55㍍、高さ37㍍の巨大なドーム型の恐竜ホールなどから構成されている。そこに42体の恐竜骨格と1000を超える標本が展示されている。

大型復元ジオラマや映像などもあり、質・量ともに日本最大規模の恐竜に関する展示を誇っている。今では年間約100万人もの来場者を集めるほどの人気で、今年9月には延べ来館総数が700万人を超えた。

さらに、フクイサウルスなど新種の恐竜化石が発見された発掘現場を14年7月に野外恐竜博物館として整備した。今年3月には福井駅前に恐竜の動くモニュメントを設置、駅舎に恐竜ラッピングを施すなどで、「恐竜王国福井」を打ち出している。

今回、福井県の魅力度が大きく上昇した最大の理由は、「恐竜」を前面に打ち出したプロモーションの成果と言えるだろう。その証拠に、昨年と比べて20代など若い世代からの評価が急激に高まっていることがあげられる。

また、福井県は「教育・子育ての県」のイメージが今年初めて全国1位となった。実は福井県は数年前から全国学力テストで中学生の結果が全国1位となるほどの、教育県である。こうした「教育」面での実力と、恐竜というイメージシンボルが結び付いて、「教育・子育て」というイメージが大きく膨らんだのだろう。

ブランドと言うのは、強いイメージ要素が生まれると、それに関連している他のイメージも引っ張り上げられるという「イメージの連鎖」というものが起こりやすい。したがって、今後も福井県が「恐竜」と連動するような取り組みやイベントなどを積極的に取り組むことにより、福井県のイメージはさらに高まっていく可能性は大いにある。

◆伝統技術も評価↑

ところで、昨年暮れのNHK紅白歌合戦で歌手の水森かおりが、世界的なデザイナー桂由美が越前和紙の花をあしらったドレス姿で熱唱したのを覚えているだろうか。桂由美は越前和紙を素材にしたオートクチュールを手掛けているほか、パリコレでは折り鶴をステージ装飾に使用している。これをきっかけに、越前和紙ががぜん注目を集めている。

実は、福井県には、越前刃物、越前焼、越前漆器などの伝統工芸が豊富にある。また、リアス式海岸に代表される自然や、越前ガニなどの食材も豊富だ。

ところが、これまで魅力度や観光意欲度など、多くの指標が全国平均を下回っている。その理由として考えられるのは「福井と言えば△△」というブランドコンセプトが徹底されていなかったことだ。 また、これらの豊富な地域資源が具体的な産業、観光、商品化に有機的につながっていない。

福井県の活性化をめざすのであれば、地域資源を活用した新しい産業創出に取り組むべきだろう。例えば県内に多いIT企業や地場産業や観光を連携させて、福井らしい新産業創出につなげるのもよい。もちろん外国人観光客(インバウンド)への対応や輸出などにもつなげることで、グローバルな視点でも成長が見込めるだろう。

かつて福井の大地を恐竜が闊歩していたように、豊富な地域資源を連携させた福井の起業家が世界を駆け巡るようになることを切に期待したい。
◆福井県の基本指標 (カッコ内は2014年の結果) △は上昇したもの


  • 認知度     41位 (45位) △

  • 魅力度     29位 (45位) △

  • 情報接触度  36位 (44位) △

  • 観光意欲度  36位 (42位) △

  • 居住意欲    42位 (47位) △

  • 産品購入意欲度 30位 (-)

  • 愛着度      35位 (21位)


 

地域ブランド調査の結果は http://news.tiiki.jp/survey2015 のページに掲載)

執筆・文責:田中章雄 (ブランド総合研究所社長)

(※この記事は、週刊ダイヤモンド2015年11月7日号に掲載したの記事を、筆者が加筆・修正したものです週刊ダイヤモンドの「勝手にケンミン創生計画」はコチラをご覧ください)

 

この記事のライター
関連記事
南北に走る奥羽山脈と阿武隈高地によって、会津、中通り、浜通りの3地域に分けられる福島県。県民の気質は会津では少し頑固で正義感が強く、人情に厚い人が多い一方で、浜通りは明るく開放的な人が多いと言われる。
公開: 2016-05-23 09:20:05
「かかあ天下―ぐんまの絹物語」として、2015年に桐生織物会館旧館など12件が日本遺産に認定された。群馬の名物を意味する「かかあ天下とからっ風」という言葉は、明治時代に栄えた絹産業が群馬の女性に依存する部分が多かったことに由来する。
公開: 2016-05-04 20:55:31
「スタバはないが、日本一の砂場(すなば)はある」平井伸治鳥取県知事のウイットに富んだ発言をきっかけに、2014年4月に鳥取駅前に「すなば珈琲」が誕生した。15年5月にはついにスターバックスもシャミネ鳥取店がオープンし、初日に1000人が行列をつくるという事態になった。
公開: 2016-04-26 09:51:05
静岡県にはバンダイ、タミヤ、アオシマなど国内プラモデルの有力メーカーが多く、「模型王国」と呼ばれている。その由来は、実は徳川家にある。
公開: 2016-04-16 12:20:07
うどん県に県名を変更するというPR戦略で注目を集めた香川県。そもそも讃岐うどんのブームは過去に3回あったと言われている。2度目は1988年の瀬戸大橋の開通で観光客が急増した際に、地域食としてのうどんが注目された。そして3回目が2011年に始まったキャンペーン企画「うどん県」というわけだ。 
公開: 2016-04-12 17:27:18
最新記事
「各都道府県を代表する歌手は誰か?」について、各都道府県の住民による大調査を実施。その結果から、東北各県(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)の「県民ソング」を歌う(演奏する)アーチストをランキング形式で紹介します。
公開: 2024-12-16 17:42:56
飲料・食品業界のSDGsに対する取り組みは、消費者からどのぐらい評価されているのだろうか? 国内有力企業300社のSDGs取組やESG活動を消費者視点で評価する「企業版SDGs調査2024」より、飲料・食品業界35社の結果を分析した。
公開: 2024-12-14 12:33:27
「各都道府県を代表する歌手は誰か?」について、各都道府県の住民による大調査を実施。その結果から、北海道の「県民ソング」を歌う(演奏する)アーチストのランキング形式で紹介します。
公開: 2024-12-12 14:00:28
紙・化学・繊維業界のSDGsに対する取り組みは、企業によって大きく異なっており、業界内での多様性が豊かである。国内有力企業300社のSDGs取組やESG活動を消費者視点で評価する「企業版SDGs調査2024」より、紙・化学・繊維業界39社の結果を分析したところ、このような結果が浮き彫りになった。
公開: 2024-12-11 20:16:25
建設・不動産業界のSDGsに対する取り組みは、消費者からどのぐらい評価されているのだろうか? 国内有力企業300社のSDGs取組やESG活動を消費者視点で評価する「企業版SDGs調査2024」より、建設・不動産業界18社の結果を分析した。
公開: 2024-11-29 23:51:45

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
get_app
ダウンロードする
キャンセル