Most soup served in 8 hours (8時間で最も多く提供されたスープ)
前回の秋田県に続き、山形県の郷土料理といえば、芋煮。江戸時代、紅花交易の船頭が、行き来のあった京都の料理を参考に、里芋とボウダラを甘辛く煮て食べたのが始まりといわれる。山形県の中でも、庄内地方は“豚肉・味噌仕立て”、内陸地方は“牛肉・醤油仕立て”など、地域や各家庭で好みの味付けにしながら、県民に愛されている郷土料理だ。
山形市で1989年から開催されている「日本一の芋煮会フェスティバル」では、大鍋の中の具材をバックホーという大型重機でかき混ぜるのが見どころ。例年、里芋4トン、牛肉1.4トン、こんにゃく5,500枚、ねぎ5,000本などの具材を、醤油820リットル、山形の水6トンで煮込んでいるという。
2018年の第30回フェスティバルでは、3代目の鍋として直径6.5メートルにもなる大鍋を製造。12,695人への芋煮提供を行い、世界一に認定された。
日本一の芋煮会フェスティバル ウェブサイト
記録保持者:日本一の芋煮会フェスティバル
記録認定日:2018年9月16日
場所:山形市 馬見ケ崎川河川敷
Largest cherry stone spitting competition (最大のさくらんぼの種とばし大会)
山形のもうひとつの有名な味覚といえば、さくらんぼ。明治時代に海外から苗木が輸入され、日本各地で栽培が試みられた。山形県では霜害や台風による被害が少ないことから栽培に成功。官民一体となり、さくらんぼ生産に力を入れることとなった。
特に、寒河江市は、外来種の試験場がつくられたり、さくらんぼの缶詰加工を普及させた井上勘兵衛が活躍したりと、県のなかでも主要産地となっている。
そんな寒河江市では、毎年6月上旬頃に、さくらんぼの種吹き飛ばし大会を開催している。本格的な収穫シーズンを前に地元産のサクランボを味わってもらおうというイベントだ。2015年の第30回大会でギネス世界記録に挑戦し、1,723人で記録達成。翌年、さらに大勢の人に楽しんでもらいたいと再挑戦し、2,944人の参加で自己の記録を塗り替えた。
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記録保持者:寒河江市
記録認定日:2016年6月12日
場所:寒河江市
Most games of shogi played simultaneously in one location (一会場で同時に行った将棋の最多対局数)
天童市といえば、将棋駒の生産地。全国シェアは95%にものぼる。江戸時代後期、将棋が庶民に定着すると、財政難に苦しむ天童藩が藩士たちに駒づくりを奨励。明治期に入ると、旧藩士が木地師と書き師に分かれて分業生産を始め、さらに大正期にはいち早く機械化を進めたことで大量生産地として発展してきた。
天童市では、桜まつりの期間中に舞鶴山で行われる「人間将棋」や「百面指し」などの将棋イベントで将棋の魅力を県内外に発信するほか、「子ども将棋大会」や「全国中学生選抜将棋選手権大会」など次世代への普及にも取り組んでいる。2018年には、同時対局数を競う世界記録に挑戦。2,362局(4,724人)の参加で、世界一に認定された。
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記録保持者:天童市
記録認定日:2018年10月14日
場所:天童市 イオンモール天童
Largest wooden concert hall (最大の木造コンサートホール)
南陽市では、公共建築物等における南陽産木材、県産木材の利用促進の方針を打ち出している。2015年に完成したシェルターなんようホール(南陽市文化会館)も、日本初の大型木造耐火施設だ。一般的には鉄筋コンクリート造の文化会館が多い中、地元の山から切出したスギ材を活用した国内最先端の耐火構造「COOL WOOD」を採用し、木造であっても、火災に強い構造となっている。
「静けさと響きがよい音響空間」がコンセプトの大ホールは、やわらかい質感とダイナミックで美しい響きが特徴。席数1,403席は、木造コンサートホールとしては世界一の大きさとしてギネス世界記録に認定されている。
記録保持者:南陽市文化会館
場所:南陽市
芋煮やさくらんぼといった食の魅力、将棋駒や木造ホールなど木の魅力。山形県の良さが伝わる世界一ばかりでしたね。
さて、次回は、福島県の世界一を特集します。
第5回・秋田県の記事はこちら
※ご紹介している記録は、各認定日時点での世界一です。現在は更新されている可能性があります。