都道府県の中で最も定住意欲度が高いのは北海道で、2年連続1位となった。ーーーこの調査は全国の都道府県の住民を対象に、幸福度や定住意欲度、愛着度、悩みや課題などを聞いた調査で、各都道府県約350、計16,300人の回答を集めた調査。その結果から、定住意欲度は北海道が最も高いという結果になった。
コロナ禍において、定住意欲度は上昇
この調査は、47都道府県の住民(15歳以上)を対象に実施したもので、それぞれ350人ずつ、計16,450人を回収。ただし、回答時点で該当県に居住していない人による回答と、不完全回答など信頼性の低い回答は集計対象外としたため、有効回答数は16,300人となった。また、都道府県ごとに年代、性別で同数となるようにウエイトバック補正を行って集計した。(調査は2021年5月1日~5月5日に実施)
新型コロナウィルス感染症の拡大によって、居住意欲は高まるという結果になった。年代別に分析すると、すべての年代で前年の結果より定住意欲度は上昇している。
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定住意欲度上位には福岡県、沖縄県、熊本県、宮城県も
都道府県別で定住意欲度が最も高かったのは前年と同様に北海道で、62.1%(前年は60.4%)が「ぜひ住み続けたい」、22.6%(同24.8%)が「できれば住み続けたい」と、合計84.7%(同85.2%)の人が住み続けたいと回答した。「移住したい(「機会があれば」「すぐにでも」の合計)」という回答は約5%。
次に高かったのは福岡県で前年の3位より順位がひとつ上昇した。「すぐにでも移住したい」および「機会があれば移住したい」との回答がわずか3.2%と47都道府県の中で最も少ない。
3位は沖縄県(前年2位)で、「ぜひ住み続けたい」の62.7%は北海道を超え、47都道府県で最も多い。
なお、定住意欲度の指数算出方法は以下の通り。
定住意欲度=「ぜひ住み続けたい」×100点+「できれば住み続けたい」×75点+「どちらでもない」×50点+「機会があれば移住したい」×25点+「すぐにでも移住したい」×0点
伸び1位は徳島県。次いで宮城県、愛媛県
定住意欲度の伸びが最も高かったのは徳島県で、前年の66.9点から73.0点へと6.1点の上昇。順位も46位から35位へと上昇した。
同県は「ぜひ住み続けたい」が前年の31.0%から37.6%へ、「できれば住み続けたい」は同30.9%から35.2%へといずれも増加。これらの合計、すなわち定住意欲を持っている人は同61.9%から72.8%へと11ポイントも増加している。
次に伸びたのは宮城県で、74.7点から80.2点へと上昇したが「ぜひ住み続けたい」が前年の34.3%から50.0%へとおよそ1.5倍に急増したのが要因。15位から5位へと大きく順位を上げた。
定住意欲度を横軸に、前年からの伸びを縦軸にとったグラフに、47都道府県の結果をプロットした。
評価も高く、伸びている都道府県は点線で囲った楕円に位置している。具体的には福岡県、宮城県、熊本県、広島県、徳島県、愛媛県の7県が属する。
定住意欲と愛着は相関が強い
左図は横軸に愛着度(点)、縦軸に定住意欲度(点)を取ったグラフ。
47都道府県のプロット位置は中央の近似直線の周辺に集まっており、非常に強い相関があることがわかる(相関係数R=0.892、決定係数R2=0.796)。
これは愛着度が高まることにより、定住意欲度が高まることを意味している。
なお、グラフの右上に位置するのは北海道、沖縄県、福岡県。この3同県は近距離にプロットされており、愛着および定住意欲に関しては似たような評価を得ていることになる。そのやや左下に位置しているのは熊本県で、前年より愛着度および定住意欲度ともに上昇しており、プロット位置は右上に移動している。
多くの都道府県が中心部に集まっている。その中で、近似直線より左上に位置する、すなわち愛着度の割に定住意欲度が高いのは上記3道県の他に石川県などがある。
詳しくは、地域版SDGs調査2021総合報告書を参照のこと。
調査概要
調査方法: インターネット調査
調査対象: 47都道府県の登録調査モニター(15歳以上)から、居住する都道府県別に抽出
総回収数: 計16,450人(各都道府県から350人ずつを回収)
有効回答数: 16,300人(各都道府県の回答者数は343~350人)
調査時期: 2021年5月1日~5月5日
調査項目: 持続性指標:幸福度、生活満足度、愛着度、定住意欲度など4項目
SDGs指標: 認知度、都道府県別SDGs評価、個人の行動など42項目
住民の悩み: 46項目「低収入・低賃金」「貯蓄・ローン」など
社会の課題: 50項目「農林水産業の衰退」「食の安全・安心」など
回答者属性: 年齢、性別、婚姻、子供の有無、世帯年収、居住形態など
お問合せ
株式会社ブランド総合研究所
担当.菅波(スガナミ)
Tel. 03-3539-3011(代) Fax.03-3539-3013
E-mail: sdgs@tiiki.jp
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コラム
・地域活性化とSDGs・・・地域はいま何を取り組むべきか(ブランド総合研究所社長 田中章雄)
「あなたは△△県に、今後も住み続けたいと思いますか」という質問に対し、「ぜひ住み続けたい」と答えたのは41.5%で、前年の33.7%より増加した。「できれば住み続けたい」は31.9%で、前年の33.7%より減少したが、「ぜひ住み続けたい」との合計では73.4%で、前年の71.2%より増えている。
一方で「すぐにでも他県に移住したい」は2.1%で前年の2.9%より、「機会があれば他県に移住したい」は8.9%で同9.7%よりいずれも減少している。