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輸入品にない品質管理とこだわり ~泉州タオル(大阪府泉州地区)

輸入品にない品質管理とこだわり ~泉州タオル(大阪府泉州地区)

大阪府の泉州地区は日本のタオル産業の発祥の地。ところが中国やアジア製の安いタオルに押されて販売量が激減。価格競争から脱皮するべく、輸入タオルにはない品質と付加価値をめざし、ついにプラス成長に転じた。

大阪府の泉州地区は日本のタオル産業の発祥の地。ところが中国やアジア製の安いタオルに押されて販売量が激減。価格競争から脱皮するべく、輸入タオルにはない品質と付加価値をめざし、ついにプラス成長に転じた。

明治20年、大阪の雑貨商・新井末吉氏がドイツ製のタオルを入手した。日本手ぬぐいより吸水性に優れ、手触りが柔らかいタオルに心酔した新井氏は、河内木綿の産地だった佐野村(現泉佐野市)で綿織物業を営んでいた里井圓治郎氏にタオルの製造を依頼した。

里井氏は研究に没頭した結果、従来の織機に改良を施して「おさ式打出機」を発明し、日本で始めてタオル製織に成功。こうして泉州タオル(大阪タオル)が誕生した。

泉州タオルの特徴は「後さらし」であること。これは、綿糸で織った後に染めや水洗いをして完成する製法だ。

◆買ったばかりのタオルでも水をよく吸う

一般的なタオルは、購入したばかりは水をはじき、吸水性が悪い。だから初めて使用する前に洗濯をしたほうがいいといわれている。これは、製造工程上、先に綿糸を染色をし、その後でタオルを織り上げる。その際、綿糸を織りやすくするためにノリやロウなどを加えてすべりを良くするわけだが、それが残っているために吸水性が悪くなってしまう。

ところが、泉州タオルは「後さらし」という製法で作られている。つまり、タオルが織り上がった後で漂泊や水洗いをして、綿糸に付着している油分やノリなどを取り除く方法だ。 そのため、素材である綿が持っている優れた吸水性が生かされる。しかも、製織の際についたほこりや汚れなどもきれいに洗い流されるため、買ったばかりのタオルは清潔で衛生的な状態になっている。



泉州地域ではこうした後さらしによる製法を一貫して続け、一大タオル産地として繁栄してきた。ところが、バブル崩壊とともに大口の販促品としての需要が低迷しはじめたことと、中国などアジア諸国から輸入されたタオルが安い価格で大量に流通してきたことで、価格競争が激化してしまった。

原材料や機械などにおいてコストの差はなかったとしても、染色やプリント、刺繍などの加工においては日本での人件費の高さの影響が出てしまい、どうしても輸入品より2~3割は高くなってしまう。

その結果、ピーク時(平成2年)には4万731トンあった泉州タオルの生産量は、年々減少し続け、平成22年には8845トンとわずか4分の1以下にまで減少してしまった。

◆輸入品との差別化とブランド戦略

こうした状況を打開するには、輸入品にはない独自性を求め、付加価値の高い商品を作っていくしかない。幸い、泉佐野市には中小規模の業者が多く、タオル製造工程において分業体制を担い、地域一体でタオルを製造する構造になっている。また、地元の大阪府立佐野工科高等学校には繊維科(テキスタイル工学科)があり、産地全体での取り組みが可能な体制が整っていた。

そこで、平成13年には「大阪グリーンタオル生産倶楽部」を設立し、公害要因やアレルギーのもととされる化学薬品を使用しないなど、人と環境にやさしい「グリーンタオル」の製品化に成功した。そして、さらに徹底した環境への配慮と品質管理を行ってできたタオルが「グリーンクラブオーガニックタオル」だ。

素材の綿は、農薬や化学肥料を3年間以上使用していない畑で栽培されたオーガニック綿を使用している。それを生成りか、あるいは天然素材でドリンク染めをしている。材料になっているのはコーヒー(茶)、ココア(赤茶)、緑茶(緑)、ウコン(黄)の4つだ。

製織の際には、糸を丈夫にするためにノリづけする必要があるが、従来の天然ノリの代わりにジャガイモ澱粉のりを使用。製織後にノリを除去する際には、カセイソーダではなく天然酵素を使用している。
また、最後の工程でタオルを柔らかく仕上げる際にも、化学柔軟剤を使わず、大豆イソフラボンを使っている。大豆イソフラボンには、優れた植物系の保湿成分を含んでいるため、柔らかく、そして、しっとりとしたなめらかな風合いに仕上げることができるという。

◆JAPANブランド「泉州こだわりタオル」

一方、消費者視点でテーマを絞り、関連加工企業や外部デザイナー、研究機関と連携をとり、そのコンセプトに合った商品を泉州タオルの産地全体で作り出すという取り組みも行っている。それが「泉州こだわりタオル」だ。これは、平成18年に経済産業省のJAPANブランド支援事業として大阪府で唯一採択された。

コンセプトの一例として、2009年のテーマは「クールリュックス(スマートで贅沢)」、10年は「フェアリーテール(おとぎ話)」、11年は「Fountain(泉)」、12年は「Marine cottage(海の別荘)」、13年は「Cutie World」となっている。これらのテーマをもとに新たなシリーズ商品を開発し、展示会や売り場などに展開している。





こうして構築した産地全体の徹底した品質管理と、消費者視点での商品開発。これらの考えをもとに平成22年には新しい品質基準を定めることになった。それが「泉州こだわりタオル品質基準」だ。この基準に合った商品であれば、大阪タオル工業組合に加盟する各社が独自に開発した商品に対して認証シールやタグなどが発行されるという仕組み。産地全体で作り上げた「ブランド」を各社の商品に展開するという構造だ。

実際、2012年8月時点での認定商品は35点になった。

こうした様々な取り組みにより、泉州タオルの出荷額は、平成23年についに念願のプラス成長に転じることになった。そして平成24年1~6月期も前年比で4.8%増と好調な伸びを示している。

関連サイト: 泉州タオル(大阪タオル工業組合)

(文責:田中章雄 ブランド総合研究所代表取締役社長)

※この記事は「月刊商工会」の連載記事「注目!地域ブランド」の記事として、2012年10月号に掲載されたものです

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地域ブランド調査2019(総合)
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