日本農業新聞の6月30日号「月曜特報」の記事「ハラール認証関心高まる 18億円、300兆円-ムスリム市場狙え」の中で、弊社代表の田中章雄(一般社団法人ハラル・ジャパン協会副代表理事)がハラル市場および認証に関してコメントをしました。
なお、記事は以下のURLをご参照ください(日本農業新聞のサイトへ)
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28497
国ごとの対応必要 動向見極め戦略を
当協会は、ハラールの認証団体ではなく、日本企業がハラールビジネスに取り組むための情報提供やPR活動を支援する団体だ。世界人口の約4分の1である約18億人を有する巨大なイスラム市場を狙い、日本企業では加工食品業界を中心とした企業と、地方自治体の関心が高い。
協会調べでは、日本には有力なハラール認証機関は六つあり、認証取得した商品は 約150に上るとみられる。認証費用は1商品で50万円から200万円程度だ。ただ取り組み は始まったばかり。試験販売はあるものの、本格的に販売している商品はごくわずかだ。
ハラールについて、さまざまな情報があるが、間違った情報も少なくない。例えば「ハラール認証を取れば東南アジアのどこの国でも通用する」といった点。認証は東南アジア各国の認証機関が管理している。このため日本の認証機関がどこの国と相互認証を取っているかを理解した上で、取り組む必要がある。
また認証を取得したからといって簡単に物が売れると考えないほうがいい。あくまで認証は、ハラールという点を証明した最低保証にすぎないからだ。認証取得に向けた活動も重要だが、輸出を目指す団体・企業はその国のマーケットをきちんと分析することが大切だ。
最近では、輸出ではなく、訪日するムスリムの観光客を狙って取得するケースもある。ムスリムの観光客は2012年に年間約30万人だったのが、今年は約50万人になりそうだ。在日 のムスリムは約20万人で合計約70万人の市場がある。
一部の空港やホテルでは、こうしたムスリムに対応した飲食店などが最近になって登場している。ハラール対策は一企業だけで対応することは難しいので、さまざまな業界が連携して共同運営の飲食店が登場しても面白いと思う。
課題は数多くあるが、イスラム市場は可能性が大きい。こちらが売りたい商品を輸出するのではなく、相手国の市場動向をつかんだ商品開発を戦略を持ってマーケティングすることが重要だ。 (田中章雄)
(日本農業新聞 6月30日号より)