第55回:八戸せんべい汁

醤油ベースの出汁（だし）で鶏や豚、ごぼう、キノコ、ネギ等の具材と一緒に、南部せんべいを割りいれて煮込む鍋料理で、八戸市内では約200店で提供されている。

今から約200年前の江戸時代末期の天保の大飢饉の頃八戸藩内で生まれた青森県八戸市の伝統的な料理。これが実はＢ級グルメブームの生みの親ともいえる。

東北新幹線八戸駅開業に向けて土産品として「八戸せんべい汁」セットを発売したところヒット。これがきっかけで「八戸せんべい汁研究所」が設立され、せんべい汁を使ってのまちおこしと、情報発信が本格的始まった。

全国各地で庶民的な料理でまちおこしに取り組んでいる地域と情報交換しているうちに、それらを集めたイベントを実施する案が生まれ、Ｂ級グルメの団体「愛Ｂリーグ」が発足。2006年2月に八戸市で第１回の「Ｂ－１グランプリ」の開催につながった。

（ブランド総合研究所社長　田中章雄）

※当記事は、2011年8月22日発行の日経ＭＪ（日経流通新聞）に「地域ブランド　AtoZ」として掲載しています。記事は日本経済新聞社の許諾を得て います。 無断での複製・複写・転載を固く禁じます。