福井県の新しいアンテナショップ「ふくい食の國291」が2月24日に銀座一丁目にオープンした。これまで、南青山の「ふくい南青山291」と銀座一丁目の「食の国 福井館」の2店舗を運営していたが、南青山はコワーキングスペースを中心とした店舗にリニューアルし、アンテナショップ機能は銀座の新店舗に集約することになった。
オープンから1カ月、来客・売上とも好調
店舗は、1階が食品などを扱うショップと観光情報コーナー、地下が伝統工芸品のショップなどとイートインから構成されている。
延べ床面積は計367平米で、1階と地下に合計約2000点の県産品が並んでいる。土産菓子などが並ぶ中に、賞味期限が数日程度と短い桜餅などの生菓子や、「大福アンパン」などの人気パンも並んでいる。
オープン後、約1か月間の集客は好調で、休日は若年層から年配層まで幅広い年齢層による混雑状態が続き、平日ではも絶え間なく来客がある状態。銀座には、近隣のアンテナショップを定期的に複数店訪れる「回遊層」が多く訪れるが、その人たちからもも県によると「オープンから半月間での集計では、1日当たりの来館者数は約2000人、1日当たりの売上額は約127万円と好調な滑り出しとなっています」とのこと。
年間目標として旧2店舗の合計の約1.5倍にあたる「来館者53万人、売上額3億2000万円」を掲げているが、オープン後半月での集計では、1日当たり来館者、売上額ともに旧2店舗合計の約2倍と目標を大幅に上回っている。
また、1階の奥にある観光移住情報コーナーでは、県内市町村のパンフレットや、季節のイベントの案内などを展示しているほか、移住を検討している人向けの暮らしの情報の提供もしている。
生羽二重餅は、食べにくさがウリ?
福井県の誇る様々な食が取り揃う中で、ひときわ異彩を放つ商品としているのが「生羽二重餅」。
羽二重餅は福井を代表する土産菓子で、白く甘くてやわらかな餅。日がたってもつきたてのような柔らかさのままで、硬くならない餅で、口当たりも非常になめらか。その福井の特産品である羽二重(経糸を細い2本にして織った、やわらかく軽い最高級の絹織物)にちなんだ名前になっている。
その羽二重餅を使った商品の一つが「生羽二重餅」。同店のホームページには「生羽二重餅は『まるごと』『そのまま』をお届けしているのでとても食べにくい特別な商品です」と自虐的な説明がついている。
しかも、パッケージには「食べにくいことに関するお詫び」、「この食感のひいつは耳から聞こえるのとは違うもう一つの音」、「生きた羽二重餅は・・・短命です」、「連投保存がおすすめです(冬眠します)などの文字が所狭しと並んでいる。
伝統工芸品の売れ行きも好調、売り切れ商品も
地下1階の伝統工芸品売り場には、福井が誇る伝統工芸品が多く並ぶ。昔からの伝統的な技術をもとに、新たなデザインや技法、使い道などを追及した商品など、福井の「昔と今」が融合する商品が一堂に集う。店員に話を聞くと、売れ行きは好調で、特に人気が高いのは越前和紙に関連する商品で、すでに欠品となる商品もあるほど。
目を引くのは奥の壁に陳列した越前打刃物。鉄と鋼を幾重にも重ねて鍛造することで、美しい刃紋が浮かび上がってくるのが特徴。
また、地場産業として知名度の高い鯖江のめがねなども並ぶ。「良いものを長く使う」という福井県の文化と職人の暖かさが表れている。「福井県の魅力をこの場で知ってもらい、最終的には福井県への観光や移住定住につながってほしい」と店員は語る。
福井県の誇る「食」と「伝統工芸品」で魅力発信
オープンから引き続き賑わいを見せる「ふくい食の國291」には、福井県の「食」と「伝統工芸品」の魅力が多く詰まっている。
福井県ならではの食品や伝統工芸品について、店員が親身になってお客に伝えている姿も見られ、サービスの部分でも福井県らしさを感じることができる点も魅力の一つだ。
北陸新幹線の福井県への延伸まで、あと1年を切った。今回オープンしたアンテナショップとの相乗効果で、福井県の観光需要がどのように活性化するかが注目される。
参考: 福井県アンテナショップ「ふくい食の國291」
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「アンテナショップ利用実態調査2023」のご案内
「第7回アンテナショップ利用実態調査2023」は、20歳~79歳の男女を対象に、2022年9月9日から11日にかけてインターネットで調査を実施し、首都圏(1都3県に住む計20,000人を対象として実施し、男女および年代(60歳~79歳は「60代以上」とした)別にそれぞれ均等に回収した。ただし、不完全回答など信頼性の低い回答を除く計19,917人の有効回答をもとに分析した。
調査対象は東京都にある、道県のアンテナショップで34店。市町村や一般企業が事業主体となっている店舗は対象外とした。
回答者には、それぞれの店舗への訪問経験や、商品の購買経験、併設している飲食店の利用経験などについて聞くとともに、今年度から新たにアンテナショップが運営しているECサイト(ネット通販)の利用経験や、アンテナショップに望むことなどの設問を加えた。
特設サイトは以下をクリック
アンテナショップ利用実態調査
・ 調査方法 インターネット調査
・ 調査対象 登録調査モニター(約450万人)から首都圏在住で20歳~79歳の男女
・ 総回収数 計20,000人 (各年代別に男女2000人ずつを回収。60代以上には70代を含む)
・ 有効回答数 計19,917人 (不完全回答など信頼性の低い回答は集計の対象外とした)
・ 調査時期 2022年9月9日~9月11日
・ 調査項目 全体指標: 都内アンテナショップの利用頻度、購入する商品分野
各店の利用状況: これまでの利用経験、過去1年間の利用状況
商品の購入状況: 各店での来店時の商品購入状況
観光情報の入手: 各店での来店時の観光情報の入手状況
来店意欲: 各店の来店意欲
飲食経験: 併設飲食店の利用経験
ECサイト利用: ECサイト(ネット通販)の利用経験ンテナショップ利用実態調査
自由意見: 道県のアンテナショップに望むことや改善してほしいこと
「ふくい食の國291」は銀座柳通りと、銀座レンガ通りの交差点に位置している。
左隣が山形県のアンテナショップ「おいしい山形プラザ」で、その反対側の数軒先には広島県の「ひろしまブランドショップTAU」がある。また、地下国は高知県の「まるごと高知」、石川県の「いしかわ百万石物語・江戸本店」、茨城県の「IBARAKI sense」があり、また北海道や沖縄などのアンテナショップが入る交通会館からも近い。まさにアンテナショップの集積エリアといえる。