山形県寒河江市で2015年6月14日(日)「最大のサクランボの種飛ばし大会(Largest cherry stone spitting competition)」のギネス世界記録TM挑戦が行われ、参加者数1,723人で見事認定された。
■歴戦のスタッフも戸惑ったギネス世界記録TMのガイドライン(ルール)
挑戦内容は≪口に含んださくらんぼの種をどれだけ遠くに飛ばせるか≫という競技大会への参加人数を競うもので、今回新しく開設された記録カテゴリになる。記録認定のためには、ギネスワールドレコーズ社が設定した1,500人の参加者数を超える必要があった。寒河江市ではこれまで「さくらんぼの種吹きとばし大会」を29回実施してきた経験があり、毎回1,000名前後の参加者を集めていた。このことから数字上は比較的容易に記録達成できるかのように見えるが、それはあくまで寒河江市がこれまで通りのやり方で実施すればの話。
ギネス世界記録TMに記録挑戦を申請すると、ガイドラインと呼ばれるルールブックが挑戦者に対して発行される。ガイドラインは、世界中の挑戦者が同様の挑戦を行う際に公平な条件となることを目的に様々なルールが定められており、主催者・参加者はその内容を遵守しなければならない。
例えば、参加者受付。これまでは参加用紙に必要事項を記入するだけだったが、今回はそれに加えて参加者本人であることを確認する必要があるため、免許証や保険証など公的機関が発行した身分証明書の提示が義務付けられた。
例えば、種飛ばしを挑戦するエリア。これまでは種飛ばしを行う挑戦レーンを隙間なく設置し10~12レーンで実施をしていたが、今回は各レーンでガイドラインに沿った挑戦が実施されているかを確認する監視員を配置する必要があった。そのためレーン間に隙間を設け、敷地の制約や人員確保の制約などから6レーンに縮小しての実施となった。
上記は一例だが、身分証持参の周知や参加への心理的なハードルから参加者は集まるのか、またレーンを少なくしたことやルール変更でスムーズな進行が可能かどうかなど、これまで29回大会を実施してきた寒河江市も当日になるまでどうなるのか分からない状態だった。
■迎えた当日~ギネス世界記録TMの効果とスタッフの底力~
迎えた当日、受付開始時間の10時前には既に参加希望者が数十人の列をつくり、正午ごろにはその列は会場外にまで伸びるほど参加希望者が殺到する大盛況となった。一因として考えられるのがメディアへの露出だ。主催者によると、これまで同大会への取材は地元のテレビ局や新聞社などが中心だったが、ギネス世界記録TM挑戦の今回は、東京キー局などからも事前・当日に多数の問い合わせや取材があり、そのようなことは今までなかったとのことだ。メディアを通してイベント集客はもとより、地域のPRにも成功した一例といえるのではないだろうか。
一方、レーンを少なくした影響だが、挑戦時間は当初5時間を予定していた(実際は15:30に参加受付終了)。そのため1時間で少なくとも300人を6レーンで挑戦してもらう必要があるのだが、最初の一時間で挑戦できたのは200人足らずだった。しかしそこはこれまで29回大会を運営してきたスタッフ。ガイドラインに沿いながら効率を上げ、昼過ぎにはスムーズに参加者を誘導していった。
そして最後に記録の要諦である参加者人数の集計。当日は4台のパソコンを会場内集計所に設置し、挑戦し終わった参加者が持参した参加用紙の内容をスタッフが挑戦中休みなく入力を続け、記入の不備や二重参加者などをチェック。また挑戦時間終了後、監視員からガイドラインに沿って挑戦のなされなかったと判断された参加者数をチェック。参加用紙上は1,848人だったが、ガイドラインに沿っていなかったとみなされた人数を差し引き、結果1,723人での記録認定となった。
記録名:Largest cherry stone spitting competition
記録:1,723人
認定日:2015年6月14日
(文責:安田 儀 ブランド総合研究所 コンサルタント)