第105回マスカット

岡山県で主に栽培されているエメラルド色の大粒のぶどうで、マスカット・オブ・アレキサンドリアという品種。マスカット種はエジプト原産の非常に古い品種で、香水の「ムスク」の香りがすることから「マスカット」という名前が付けられた。その色と香りの強さから「緑色の宝石」とも言われる。

1886年に岡山市でガラス温室による栽培が成功。当時マスカット一箱が米一俵と同じ値段で売れたらしい。その後は露地栽培にも成功し、今では全国の生産量の９割が岡山で栽培されている。

ハウス栽培などで5月～11月までの長期間の出荷が可能となっているが、無加温栽培のものは9～11月に出荷される。

上質のものには粒の表面に白い粉のような果粉が付くが、これはミネラルなどの成分が染み出したもの。生で食べられるほか、ワインや清涼飲料水、アイスクリーム、ゼリー、和菓子などにも加工される。

（ブランド総合研究所　田中章雄）

※当記事は、2012年8月27日発行の日経ＭＪ（日経流通新聞）に「地域ブランド　AtoZ」として掲載しています。記事は日本経済新聞社の許諾を得ています。 無断での複製・複写・転載を固く禁じます。