400年以上の時を経て「砂糖文化を広めた長崎街道 -シュガーロード- 」
日本橋長崎館(東京都中央区)では、2020年8月12日(水)から8月31日(月)の間、長崎街道沿いの砂糖文化(シュガーロード)を受け継ぐ長崎県内の個性豊かな菓子と食文化を紹介する。(展示・販売あり)
長崎街道「シュガーロード」は、小倉と長崎を繋ぐ全長228kmにおよび、山を越える道程が多い険しい街道である。室町時代末頃から江戸時代、西洋や中国との貿易で日本に流入した砂糖は、日本の人々の食生活に大きな影響を与えた。
なかでも海外貿易の窓口であった長崎と小倉をつなぐ長崎街道沿いの地域には、砂糖や外国由来の菓子が多く流入し、独特の食文化が花開いた。現在でも、宿場町をはじめ、当時の長崎街道をしのばせる景観とともに、個性豊かなお菓子が残っている。
砂糖の普及以来、長崎街道沿いでは西洋・中国に期限を持つ多彩なお菓子が作られ続けている。砂糖・卵・小麦粉を使ったお菓子、西洋の製菓技術をヒントに印窯で焼き上げたカステラなどのお菓子、中国人から製法を習った米と砂糖をあわせたお菓子などが作られた。長崎街道沿いでこれらの外国由来のお菓子が作られたのは、各地の菓子職人が長崎へ直接製法を学びに訪れた背景がある。江戸時代に長崎街道沿いの地域を治めた黒田氏・鍋島氏藩領には、砂糖や海外由来の菓子文化が残されており、両氏が長崎警備を務めたことから、長崎で優先的に砂糖を買い付けることができたと考えられている。
近年、この長崎街道は、シルクロードになぞらえて、砂糖の道「シュガーロード」という愛称を得ている。「シュガーロード」をたどると、長崎街道の歴史だけではなく、400年以上もの時をかけて発展し続ける砂糖や菓子の文化に触れることができる。400年以上の時を経て、長崎県長崎市、諫早市、大村市、佐賀県および福岡県の関係市は、「砂糖文化を広めた長崎街道-シュガーロード-」が2020年6月19日(金)に文化庁認定の「日本遺産」に52件選定された。
長崎県では「長崎街道」および、長崎市の「出島和蘭商館跡」、「カステラ」、「有平糖」など、諫早市の「大村街道」、「諫早おこし」など、大村市の「松原宿」、「へこはずしおこし」、「大村寿司」など計24件が構成文化財に認定された。
これを記念し、日本橋長崎館(東京都中央区日本橋)では、2020年8月12日(水)から8月31日(月)の間、長崎街道沿いの砂糖文化を受け継ぐ県内の商品を紹介する「シュガーロードコーナー」を設置し紹介する。
期間:2020年8月12日(水)から8月31日(月)10:00~20:00
場所:日本橋長崎館(東京都中央区日本橋2-1-3 アーバンネット日本橋2丁目ビル 1階)
URL:https://www.nagasakikan.jp/index.html
内容:シュガーロード沿いの砂糖文化を受け継ぐ県内のお菓子の展示・販売
砂糖文化を広めた長崎街道-シュガーロード-」主な構成文化財
■全 域:長崎街道
■長崎市:出島和蘭商館跡、長崎くんちの奉納踊、カステラ、有平糖(あるへいとう)など
■諫早市:諫早おこし、諫早おこし道具
■大村市:へこはずしおこし、おこし製造道具、大村寿司
■嬉野市:嬉野市塩田津(国選定重要伝統的建物群保存地区)、逸口香、金華糖など
■小城市:村岡総本舗羊羹資料館、普茶料理、小城羊羹など
■佐賀市:丸ぼうろ、寿賀台(すがだい)、菓子仕方控覚(鶴屋文書)など
■飯塚市:銘菓ひよ子、千鳥饅頭、なんばん往来など
■北九州市:福聚寺(ふくじゅじ)、常磐橋(ときわばし)、小菊饅頭、金平糖、くろがね羊羹など