この調査では、来店経験、リピート率、購入商品などの店舗利用状況のほか、観光情報の入手やレストランでの飲食、そしてECサイトの利用率など、店舗での商品購入以外での活用状況についても調査・分析を行った。
その結果、首都圏住民で都内にある道県のアンテナショップを1年以内に来店・利用した人の割合はわずかに減少したが、利用者1人あたりの訪問回数やリピート率は増加。すなわち、各店舗の固定客化が進んでいることが明らかになった。また、来店時に観光情報や、市町村のパンフレット入手、体験イベント等の参加など、商品購入以外の行動も多様化しており、地域に関する様々な情報発信拠点として活用されているという実態が明らかになった。
利用率は前年より低下。1人当たり回数は増
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回答者1人当たりの訪問回数は5.31回/年(未利用者を含む)で、これは前回の4.68回より増加している(棒グラフ)。
言い換えれば、アンテナショップの延べ利用者数は前年より13.4%増加したことになる(5.31/4.68=1.134)。
つまり、アンテナショップでは、同じ店に何度も繰り返し訪問するヘビーユーザーの割合が増えている可能性が高いということになる。
ちなみに、訪問経験のある人に限って年間訪問回数を算出すると19.1回となり、月に1回以上は訪問していることになるが、これは「ほとんど毎日」というヘビーユーザーが底上げしている結果だ。
20代の利用者が増えている!
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年代別で過去1年間にアンテナショップを利用した割合は、各年代とも30%前後と大きな差は見られなかった。ところが、1人当たりの年間訪問回数を年代別に分析すると、20代が9.05回(利用しない人を含む)で最も多く、次いで30代が7.42回と年代が低いほど高くなっている。つまり20代は60代以上の4倍近く訪問していることになる。
特に20代で「週に1回以上」訪問している人は6.8%で、60代以上の1.1%より6倍も多くなっている。ちなみに30代は5.1%で、20代に次いで多い。つまり、頻繁に訪れるヘビーユーザーは若い世代に多いということになる。
しかも、前回の調査における20代が7.24回、30代が6.81回なので、1年間でヘビーユーザーがかなり増えているようだ。アンテナショップにとって、若い世代は非常に有望なマーケットであることがわかる。
観光情報を得る人が17%
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アンテナショップに来店した際に何をしたかを聞いた結果がこのグラフ(数字は34店の平均)。
「食品を購入した」と回答した人は34店平均で65.6%と最も多い。すなわち来店した3人に2人は食品を購入したことになる。
次に多いのは「新商品や珍しい商品等を探した」で20.5%だが、アンテナショップには各地域の珍しい商品を取り寄せている店が少なくない。
注目すべきは、「観光パンフレットや情報を得た」で、「飲食をした」とほぼ同じ17.0%が実施していることだ。
さらに「市町村のパンフレットや情報を得た」も11.2%と1割以上が得ている。都内でも旅行代理店の窓口や、駅の窓口が縮小される中で、県のアンテナショップで各地の旅行情報を入手する拠点として活用する人が増えているようだ。
アンテナショップの店内で利用者にヒアリングをすると、首都圏住民だけではなく、全国から東京に旅行に訪れた人が、その後の旅行先を探すための情報として入手している人も少なくない。
実際に、英語のパンフレットを置いているアンテナショップでは、そうした外国語のパンフレットを持って帰る人が少なくないようだ。
アンテナショップ利用率ランキング 1位は北海道、2位沖縄。3位は?
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実際に過去1年間に来店・利用したことのある店のランキングを作成した(当サイトでは上位20位まで表示)。
年間での来店率が最も高かったのは北海道どさんこプラザで9.50%。同店は2017年の調査から連続1位となっている。しかし、同店が安泰とは言えない。前回調査の10.44%よりおよそ1ポイントも低下しており、これは34店中で最も下げ幅が大きいからだ。
次いで沖縄・銀座わしたショップ本店。2023年1月に銀座から有楽町に移転し、来店率は低下してしまったが、相変わらず人気は高い。
3位の宮城ふるさとプラザは2024年12月で現在の池袋の店舗は閉店。2025年1月に運営体制を変えて日本橋茅場町に期間限定でオープン予定だ。
なお、3位から6位までは東北の店舗が占めているなど、東北各店の来店率が高くなっている。
飲食店の利用率 (飲食率) ランキング
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アンテナショップに併設されている飲食施設の利用率(飲食率)については、28店のうち過去1年以内にいずれか1つ以上利用したことがある人は16.31%で、前年の15.25%より増加した。
飲食率が最も高かったのは北海道で5.20%。同店はソフトクリームのイートインの人気が根強い。
2位は宮城の2.45%。同店は2024年12月に閉鎖した(調査時点では営業中)。
3位の山形から5位の福島まで東北の店舗が占めた。
9位の鹿児島の他、宮崎、沖縄、長崎など九州の各店もランキングの上位に多い。
調査概要
「第8回アンテナショップ利用実態調査2025」は、20歳~79歳の男女を対象に、2024年10月18日から11月2日にかけてインターネットで調査を実施し、首都圏(1都3県に住む計20,000人を対象として実施し、男女および年代(60歳~79歳は「60代以上」とした)別にそれぞれ均等に回収した。
その中から、不完全回答など信頼性の低い回答を除く計19,784人の有効回答をもとに分析した。
調査対象は東京都にある、道県のアンテナショップで34店。市町村や一般企業が事業主体となっている店舗は対象外とした。
回答者には、それぞれの店舗への訪問経験や、食品分野別の購入経験、併設している飲食店の利用経験などについて聞くとともに、各アンテナショップが運営しているECサイト(ネット通販)の利用経験や、アンテナショップに望むことなどの設問を加えている。
・ 調査方法: インターネット調査
・ 調査対象: 登録調査モニター(約450万人)から首都圏在住で20歳~79歳の男女
・ 総回収数: 計20,000人 (各年代別に男女2000人ずつを回収。60代以上には70代を含む)
・ 有効回答数: 計19,784人 (不完全回答など信頼性の低い回答は集計の対象外とした)
・ 調査時期: 2024年10月18日~11月2日
・ 調査項目:
・全体指標: 都内アンテナショップの利用頻度
・店舗別個別指標:
各店の利用状況: これまでの訪問経験、過去1年間の来店状況
店内での行動: 食品・工芸品の購入、イベント参加、観光情報入手率など
食品分野別の購入:肉製品、魚介類、米、スイーツなど分野別の購入率
店舗イメージ: 立地、品ぞろえ、デザイン、情報など
来店意欲: 各店の再来店意欲、新規来店意欲
飲食経験: 併設飲食店の利用率、飲食店のイメージ
ECサイト利用: ECサイト(ネット通販)の利用率
・分析方法:
単純集計: 項目別に各店の結果、対象店舗の平均
経年分析: 過去5年間の結果の比較(比較可能な項目、店舗のみ)
出店エリア分析: 銀座、有楽町、日本橋、新橋、その他 のエリア別分析
属性クロス集計: 回答者の年代、性別、婚姻、居住地、子どもの有無、
食表、世帯年収、居住環境
属性バランス分析:各店の利用者等の属性のバランス(割合)を比較
その結果からポジショニングマップを作成
調査結果報告書
・総合報告書: 98,000円(税込、送料込)
全調査結果および過去5年分の比較データを収納
A4判カラー、180ページ
・オプション/データCD:33,000円
全店の評価データ、属性クロス、属性バランスを分析・加工できるように
EXCELデータとして一覧表形式で提供(メール送付も可能)
・報告会・セミナー:110,000円 (交通費、報告書は別途)
調査結果を基にセミナーまたは研修会を実施
※金額はすべて税込みです
※ご不明な点がございましたら下記問い合わせ先までご連絡ください。
追加調査(オプション)のご案内
アンテナショップ調査の結果を、さらにご活用いただき、店舗の活性化戦略に活かしていただけるように、以下の4つの
オプションをご用意しています。
その他、課題や予算等にあわせてカスタマイズ可能ですので、ご質問・ご要望等はお問い合わせください。
(1)個別レポート
内容: 今回の調査結果(過去3年分の結果も含む)をもとに、各店舗の現状をまとめたレポート
表やグラフなどを用いて作成
詳細分析するテーマや内容によってカスタマイズ可能です
ページ数:PPTにて、概ね20ページ程度
納品: 発注より約1週間程度
料金: 20万円~(税別。ご注文の分析内容によって異なります)
オプション:調査結果を基にした課題抽出、考察
結果報告会(セミナー)またはワークショップ (オンラインでの開催も可)
(2)各店利用者による追加調査
内容: 今回の調査で、各店舗に「訪問経験がある」と答えた人を抽出し、具体的な利用法や評価
などのほか情報入手手段、観光行動などの質問も設け、その結果をまとめて報告します
調査方法:インターネット調査
回収数: 300~500名程度 (Q1の回収数の50~70%程度の回収を見込みます)
過去の調査での訪問者を追加することも可能です
設問数: 10問~20問
納品物: 調査報告書 (20ページ以上)
納品: 発注より約3週間
料金: 45万円~(税別)
(3)各店利用者への出口調査
内容: 新たに各店舗の来場者に対して行う調査で、店舗来場者の詳細なプロフィールを明らかにします。
また、店舗の利用状況や品ぞろえやデザインなどの評価、イメージ、期待などについても調べ、
より評価の高い店舗づくりの指針づくりにつなげます
調査方法:アンケート配布法 (回収は店舗内または郵送、インターネット等)
回収数: 500名程度
設問数: 10問~20問
納品物: 調査報告書 (30ページ程度)
納品: 発注より約1か月
料金: 55万円~(税別)
(4)店舗の価値測定
内容: 店舗売上以外の、「アンテナ」としての効果を金銭価値として測定します
具体的には情報発信効果、観光誘客効果、店舗外売り上げ効果、イメージアップ効果などを
金銭価値として算出します
価値を測定するにあたり、店舗に関する既存データのほか、メディア露出、来場者データを
活用するほか、上記の調査を実施して算出しますが、データの量が多くなるほど精度および
算出できる価値の種類が多くなります
納品物: 価値測定報告書 (30ページ程度。他に調査報告書あり)
納品: 発注より1~2か月
料金: 180万円(税別)~
お申し込みとお問い合わせ先
下記の申込書にご記入のうえFAXまたは、メールにてお申込み下さい
株式会社ブランド総合研究所 (担当:加藤)
Tel. 03-3539-3011(代)
Fax. 03-3539-3013
E-mail: project(アットマーク)tiiki.jp
※(アットマーク)を@に変えて送付ください
Homepage: https://tiiki.jp(企業)
地域ブランドNEWSサイト
現在、東京都内には、全国の道県のうち34のアンテナショップがある(1都2府の店はないため、ここでは「道県」と称す。また、1県で複数を出店している場合もある)。
そこで、まず首都圏に住む方に、これまでに道県のアンテナショップに行ったことがあるか否かと、訪問頻度を聞いてみた。その結果がこの円グラフ。
東京にあるアンテナショップに、1年間に1店以上に来店・利用したことがある人(以下訪問率と称す)は合計27.8%で、前回(およそ1年前)の31.0%より減少した。ところが、「週1回以上」は3.5%で、同2.7%より増加している。