塩漬けにした白ウリなどの野菜を酒かすに漬けて作った漬物。奈良時代以前より「かす漬け」として作られ、上流階級の保存食や香の物として珍重されてきた。江戸時代になると幕府への献上品として使われたことや奈良を訪れる旅人により広く伝わった。
「奈良漬」という名前は、産地名でなく製法を表したもので、1600年前後に奈良の漢方医であった糸屋宗仙が考案した。今では全国各所で製造・販売されている。
主たる製法としては、2月に冬仕込みの清酒の搾りかすをおけに入れて6ヶ月かけてかす床を熟成させ、8月に塩漬けにした野菜を漬け込む。その後毎月新しい酒かすに漬けかえ、これを数ヶ月繰り返したあとで、化粧かすにかえたものをたる詰め、または袋詰めにする。
全国で年間約2万6000トンが生産され、出荷金額ベースでは約400億円と漬物全体の1割を占めている。
(ブランド総合研究所 田中章雄)
※当記事は、2012年11月05日発行の日経MJ(日経流通新聞)に「地域ブランド AtoZ」として掲載しています。記事は日本経済新聞社の許諾を得ています。 無断での複製・複写・転載を固く禁じます。
第115回奈良漬
2012年11月05日更新
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