山口県周南市で何とも恐ろしい企画展が開催される。その名も「ゴキブリ展」。悪い冗談かと思えばそうでもない。「ふれあい体験」や謎のヒーロー「ゴキブリキング」(着ぐるみ)が登場するなど、本気の力の入れようである。
夏といえば、あの黒い虫の季節である。恐らくその名を口にするのも嫌だという人も多いだろう。あの理屈を超えた生理的嫌悪感は筆舌に尽くしがたい。
一定速度で動いてくれればまだマシである。しかし、目を見張る速さで動いたかと思うと、ピタリと静止する。そしてまた急に動き出す。この静止している時間がたまらない。次にどう動くのか。ゴクリとつばを飲むようなこの怖さと緊張感は、そんじょそこらのホラー映画やお化け屋敷では味わえないほどである。
そんな「ゴキブリ」を集めた展覧会が開催されるという。
場所は山口県周南市。弊社の地域ブランド調査によれば、2014年度の認知度は1000自治体中849位、魅力度は602位。決してメジャーな自治体ではない。読者の中にも全く知らない方、何のイメージも湧かない方も少なくないだろう。
そういう現状を憂えてかそうでないのか、恐るべき展覧会の開催に踏み切ったのが、この周南市内にある徳山動物園である。
(↑ チラシの下部分は自粛します。関心のある方はGoogle検索などしてみてください)
チラシによると、
・世界のゴキブリ大集合
・え!?ゴキブリとふれあい体験
・巨大ゴキブリほいほい 気分はゴキブリ、入っちゃおう
・ゴキブリレース! 1位のゴキブリを当てろ
・謎のヒーロー ゴキブリキングがやってくる
何とも突き抜けた企画ばかりである。ゴキブリとのふれあい体験と言われても、ふれあいたい人が存在するのだろうか? ゴキブリキングのきぐるみは、いったいいくらしたんだろうか? 数々の「?」が頭のなかで繰り返される。
開催期間は7/18~8/31。
行こうと思えば行けないことはない。いや、むしろ行くべきではないのか。きっと人生で一度しか味わえない体験が待っているはずだ。
絶対に出会いたくないモノたちに心惹かれはじめている自分に気づく。
おそらくこれこそが徳山動物園の狙いなのであろう。
ちなみにこの徳山動物園、去年の夏も同様の企画をやっていたようだ。去年は「続・ぞくぞく!ふしぎ動物キモだめし」。「続」とあるからには、一昨年もやっていたのかもしれない。恐るべし徳山動物園である。
私の中で、「山口県周南市」の存在がいきなり何十倍にも大きくなったニュースであった。ご興味のある読者には、ぜひチャレンジしていただきたい。
(執筆:金築俊輔 ブランド総合研究所 シニアコンサルタント)