奈良県桜井市を中心とした三輪地方で生産されているそうめんで、原材料は小麦、塩、水、少量の綿実油だけ。奈良時代に飢饉(ききん)に備えるための保存食として三輪の水を使って作られたのがはじまりで、そうめん発祥の地といわれている。
極寒期に手延べ法により精製することで、コシのしっかりした麺になる。製造から1年以上寝かせたものを「古物(ひねもの)」、さらに2年以上寝かせたものは「大古(おおひね)」と呼び、珍重される。麺は細いほど高級品とされており、極細の最高級品である神杉(かみすぎ)は、1本0.6ミリだ。
2002年に長崎県島原産のそうめんを「三輪そうめん」として販売していた偽装問題が起きたため、奈良県三輪素麺工業協同組合は「三輪素麺(そうめん)」を商標登録し、三輪地方で作られたものしか三輪素麺と呼べないようにした。
(ブランド総合研究所 田中章雄)
※当記事は、2013年6月24日発行の日経MJ(日経流通新聞)に「地域ブランド AtoZ」として掲載しています。記事は日本経済新聞社の許諾を得て います。 無断での複製・複写・転載を固く禁じます。
第146回 三輪素麺
2013年06月24日更新
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