食品想起率とは
「それぞれの自治体(提示した地域名)で、あなたが購入したいものがあれば、具体的な産品名をお書きください」という問いに対して、各市それぞれ3品まで、自由記述で回答してもらい、100人当たりの記入数でスコアを算出している(サンプル数には無回答を含む)。
食品想起率(%)=(食品の記入数)/サンプル数×100
北海道は16年連続1位も、近年は想起率が低下傾向
都道府県調査を開始した2009年から設けていた同項目は、北海道が2024年まで16年連続で1位となっており、2位以下の都府県を大きく引き離している。
2024年の調査では、北海道は49.0%となっている。2位以下に10ポイント以上差をつけている。ただし、北海道の想起率を2009年から比較してみると、2010年の92.0%を最高に、2016年まで低下を続けており、2017年以降は50%前後で推移している。
他方、都道府県平均をみると、2010年の26.9%を最高に、2016年の12.5%まで低下しているが、その後上昇傾向になっている。特に2021年以降は20%以上で推移しており、北海道と他都府県の差は縮小傾向にある。
2011年ごろを境に「菓子類」の想起率が急激に低下。代わって「食事メニュー」が台頭
回答者が記入した品目を「農産物・農産物加工品」や「食事メニュー」など8つに分類し、それぞれの想起数を経年で比較した。以下の棒グラフは、各年の想起率のうち、各品目が占めるスコアとなっている。
16年間を通して共通するのは、「水産物・水産加工品」が最も多く挙げられていることだ。カニをはじめ、イクラ、ウニ、鮭など多様な品目が挙げられている。
食品想起率が高かった2009年と2010年の特徴は「菓子類」が多く挙げられているが、2011年以降は想起数が減少している。
2011年以降は「食事メニュー」が想起される傾向が強くなっていることがわかる。
【図2.北海道の食品想起率のうち分類品目別結果推移】
次に各年の食品想起率を100%とした8品目分類の構成割合をみると、16年間を通して共通するのは、「水産物・水産加工品」が最も多く挙げられていることがわかる。各年の想起率に占める割合は40%から50%を推移している。
「菓子類」が各年の想起率に占める割合は、2009年で40.7%、2010年で29.7%と「水産物・水産加工品」に次ぐ想起となっていた。しかし、2011年以降は想起数が減少しており、各年に占める割合も2011年には14.7%と半減し、2020年には10%を割り込んでいる。なお、市区町村における「札幌市」の結果でも、同市で30%程度を占めていた菓子類は2011年に半減。近年は10%前後で推移しており、「北海道」という都道府県名だけではなく、市区町村名においても「菓子類」の想起は2011年以降低下している。
2011年以降に想起率が増加した「食事メニュー」は、各年の想起率に占める割合が、2010年は6.1%だったが、翌年の2011年には20.9%と急増しており、「水産物・水産加工品」に次ぐ想起となっている。また、2022年以降は30%を超えており、「水産物・水産加工品」と割合を二分する柱となっている。
【図3.北海道の食品想起率における各年の品目分類構成割合】
「菓子類」「食事メニュー」品目の寡占化が進む
先に紹介した「菓子類」「食事メニュー」について、具体的にどのような産品が挙げられていたかを、最も食品想起率が高かった2010年と、最新の2024年の結果から比較した。それぞれ多種多様な品目が挙げられているため、ここで紹介する品目は集約している。
まず、「菓子類」で2010年に最も挙げられた品目は「白い恋人」で、同年の「菓子類」に占める割合は27.9%となっている。次いで、「花畑牧場(生キャラメル)」が20.6%、「六花亭(マルセイバターサンド)」が12.7%、「ROYCE」が7.1%、「じゃがポックル」が6.4%となっており、この5社(品目)で「菓子類」の75%程度を占めている。
一方、2024年には「白い恋人」が同年「菓子類」の51.1%と半数以上を占めるほど、割合を増加させている。他方、他の4品目はそれぞれ割合を低下されているが、5品目の合計では、同年「菓子類」の70%強を占めており、依然有力な想起品目と言える。
【図4.北海道食品想起率のうち「菓子類」回答状況比較(2010年・2024年)】
次に「食事メニュー」で2010年に最も挙げられた品目は「ラーメン類」で「食事メニュー類」に占める割合は48.0%と半数近くを占めている。なお、「ラーメン類」は「味噌ラーメン」、「札幌ラーメン」など多様な品目で構成されている。次いで多かったのは「ジンギスカン」で23.0%となっている。この2品目で「食事メニュー類の80%を占めている。2024年に最も多く挙げられた品目は「ジンギスカン」で58.4%、次いで「ラーメン類」が19.8%で、2品目の合計割合は80%弱と変わらないが、順序が入れ替わっているのが特徴といえる。なお、スコア面をみると、両品目とも想起率は上昇している。
【図5.北海道食品想起率のうち「食事メニュー」回答状況比較(2010年・2024年)】
2010年と2024年の比較で、両分類共通していえる傾向は、「菓子類」は「白い恋人」、「食事メニュー」は「ジンギスカン」と、特定の品目が占める割合が高くなっていることが挙げられる。ただし、想起される品目数は、他都府県と比較すると依然多く、バラエティに富んでいるのも北海道の特徴と言える。
【図1.北海道と都道府県平均の食品想起率推移】