情報接触度とは
「過去1年間にそれぞれの市区町村について情報、話題などを見たり聞いたりしたことはありますか。」という質問を行い、回答者には3つの選択肢からそれぞれの地域名に該当するものを1つだけ選択してもらっている。
スコアは、選択肢「何度も見聞きした」を100点、同「一度だけ見聞きした」を50点、「まったく見聞きしていない」を0点として、各選択肢の回答者割合を加重平均した数値を情報接触度として算出している。
情報接触度(100点満点)=100点×「何度も見聞きした」回答者割合+50点×「一度だけ見聞きした」回答者割合
能登半島各市町の情報接触度が今年急上昇
今年1月に地震があった石川県能登半島の各市町は、情報接触度が大幅に上昇した。輪島市は2023年の27.7点(全国162位)から今年60.0点(同3位)となった。前年から32.3点上昇しており、上昇幅は1,000市区町村で最も大きくなっている。その他の市町では、能登町が前年の29.3点(140位)から52.9点(10位)に23.6点上昇しており、珠洲市(19.2点上昇)、 七尾市(15.1点上昇)、穴水町(9.9点上昇)と、各市町の情報接触度上昇が顕著となっている。
回答者割合の前年比較(輪島市の場合)
輪島市の各選択肢の回答者割合を前年と比較すると、前年は「何度も見聞きした」は10.4%、「一度だけ見聞きした」は36.5%で、合計44.9%の回答者が輪島市に関して<1年間に1回以上何らかの情報に接触した>と答えている。
対して今年2024年調査では、「何度も見聞きした」が45.2%、「一度だけ見聞きした」が29.5%で、合計74.7%の回答者が情報に接触したと回答している。前年と比較すると、一年間で一回以上情報接触した割合は29.5ポイントも上昇しており、特に「何度も見聞きした」は34.8ポイントも上昇している。
【図1.情報接触度の各選択肢回答者割合(輪島市)】
次に、回答者を居住地、年代に分けた属性別結果をみてみる。
居住地別は「北海道・東北」など6つの地域に分けて集計している。前年と比較すると、全6地域で、情報接触度が20点以上上昇しており、特に「近畿」以東の4地域では前年よりも30点以上上昇している。
【図2.輪島市の回答者居住地別結果比較】
年代別は「20代」から「70代」と6つの年代に分けて集計している。前年と比較すると、各年代で30点以上も上昇している。なお、輪島市は前年まで、高年齢層ほど情報接触度が高くなる傾向が顕著にみられていたが、今回の大幅な点数上昇でも同様の傾向がみられた。また、珠洲市や七尾市、穴水町では、高年齢層ほど情報接触度が高くなる傾向が前年よりも顕著となっている。
【図3.輪島市の回答者年代別結果比較】
2007年の地震よりも情報接触上昇の広がりが大きかった2024年
能登半島においては、2007年3月にも大きな地震が起きている。地域ブランド調査は2006年より調査を開始していることから、能登半島地域と金沢市の情報接触度の点数推移を紹介し、2007年と2024年の結果を比較する。
2007年の結果では、情報接触度の上昇がみられるのは輪島市のみとなっており、他市に大きな変化はみられない。輪島市は2006年の18.4点から、2007年に41.0点と20点以上も点数が上昇しており、前年点数が大きく上回っていた金沢市の結果に肉薄している。しかしその後、輪島市の点数は低下傾向が続いている。低下は2010年頃に落着き、以降は点数の上下はあるが25点前後で推移している。
対して2024年の結果をみると、前述のとおり、輪島市をはじめ、能登町や七尾市、珠洲市、穴水町といった複数地域の情報接触度が大幅に上昇しており、輪島市の情報接触度のみが上昇した2007年の結果と異なっている。この相違は、災害の規模や発災の時期、情報の発信や受信の環境変化なども関係しているため一概に比較はできないが、2024年の地震は能登半島地域にある複数の地域名称の情報接触や認知に対して影響が及んでいる。
【図4.能登半島各市町と金沢市の情報接触度推移(2006-~2024)】
【表1.石川県内の情報接触度結果(一部地域を抜粋)】