MENU
【弊社社員を装った迷惑メール(なりすましメール)にご注意を】 添付ファイルの開封や記載URLへのアクセスを行わず、メールを削除していただくようお願い致します。
純国産オリーブへのこだわり (香川県・小豆島)

純国産オリーブへのこだわり (香川県・小豆島)

オリーブ発祥の地・小豆島で、「オリーブ収穫祭」が10月1日より11月末まで開催されている。20回目を数える今年は、「オリーブオイルテイスティング」や「新漬けの試食」など、オリーブやオリーブの収穫にちなんだ様々なイベントが実施されている。

オリーブ発祥の地・小豆島で、「オリーブ収穫祭」が10月1日より11月末まで開催されている。20回目を数える今年は、「オリーブオイルテイスティング」や「新漬けの試食」など、オリーブやオリーブの収穫にちなんだ様々なイベントが実施されている。

小豆島は、瀬戸内海では淡路島に次いで面積の大きい島で、小豆島町と土庄町からなり、人口は約32000人(2007年度推計)。素麺、醤油、佃煮などの生産が盛んであり、いずれも日本有数の生産地となっている。壺井栄の小説『二十四の瞳』の舞台としても有名だ。

秋も終わりに近づくと、島の斜面に赤く熟したオリーブの実は、紅葉やみかんのオレンジと相まって輝いて見える。まさにオリーブの収穫が始まらんとする頃だ。ここ小豆島ではオリーブ畑だけではなく、幹線道路わきはもちろん、一般家庭など、島のあちこちにオリーブの木が植えられて、地元の生活と一体化し、「オリーブアイランド」の様を呈している。

◆100年前にイワシ加工用に栽培された

小豆島でオリーブが植えられるようになったのは、歴史をさかのぼること約100年前。明治41年にもともとはイワシなどの油漬け加工に必要な油の国内供給を図るため、小豆島、鹿児島、三重で試験的に栽培されたのが事の始まりだったらしい。

ところが、オリーブが根付いたのは小豆島だけだったという。丘陵や山が多いため、水はけがよく、夏は日ざしが強く乾燥するといった年中温暖な地中海性気候によく似た小豆島が、生育の条件にピッタリなのがその理由だった。

戦後の油脂不足などでオリーブオイルの価格が暴騰したことから、小豆島でのオリーブ栽培は拡大し、130ヘクタールまで栽培面積が拡大した。しかし、昭和34年の輸入自由化により外国産の安価なオリーブが上陸するようになると、高値の国産はたちまち太刀打ちできなくなり、栽培は一気に衰退した。

また、天敵のゾウムシや、根が弱い性質の木であるために台風による倒木被害なども受けやすく、栽培面積は昭和60年代には34ヘクタールとピーク時の四分の一にまで減ってしまった。

一度は衰退した小豆島オリーブに転機が訪れたのは平成10年のこと。食品の国産志向が高まったほか、観葉植物としてなど利用範囲の拡大、そしてオリーブが「平和の象徴」としてのイメージをもつことなどから、多方面でオリーブの需要が増加してきたのだ。

そこで、栽培農家の確保と生産量の回復を目指し、オリーブ苗の配布や、苗木購入費用の助成、利用されていない農地の再整備に対する助成、講習会の実施を行うなどオリーブ栽培面積の拡大に取り組んだ。 平成15年には「小豆島・内海町オリーブ振興特区」に認定されたのを受け、地元の醤油製造業者などが特区法人としてオリーブの栽培と加工品の製造に参入し始めた。

こうして島のあちこちにあった荒廃地にオリーブが植えられ、島民の中でもオリーブの栽培を始める人が徐々に増えていくなど、小豆島はオリーブの島として復活してきたのだ。

◆手摘みゆえにフレッシュな香りが生きる

小豆島産のオリーブオイルは、国産ならではのこだわりを持って製造されている。まず原料となるオリーブはすべて一粒一粒を丁寧に手摘みしている。外国では専用の機械でオリーブの木を振動させ実を落とすという収穫方法が一般的だが、これでは葉などの異物が交じり、このまま搾るとどうしても雑味が残ってしまうという。手摘みをすることで、果実を傷つけることなく収穫することができ、異物が混入することもないので、搾油した時も果実本来の味が凝縮される。

また収穫後は果実の酸化が進むため、できるだけ早く搾ってフレッシュな味を出す。オリーブの果実から搾った油を、加熱処理も化学処理も一切施さないのがヴァージンオイル。自然な状態のまま採りだした油性のジュースであるだけに、果実の新鮮さが決め手になる。小豆島産のヴァージンオイルが評価が高い理由はここにある。



◆オリーブ茶、化粧品など人気商品次々と

小豆島自体の活性化につなげるには、この評価の高いオリーブを活用して、付加価値の高い商品化やサービス化を進めることが不可欠である。

平成20年度に策定した小豆島町総合計画において、めざす将来像は「オリーブライフ小豆島~煌く海、瞳輝く、実りのまち~」となっている。オリーブを産業の活性化や交流の促進などの地域振興に結びつけていくことをまちづくりの基本としたのだ。

「銀の葉裏」といわれるオリーブの葉には、ポリフェノールの一種オレウロペインが含まれているが、これは強力な抗酸化作用や、コラーゲン生成に優れた効果を発揮することが解明されている。こうしたオリーブの葉の効用に着目しハーブティのように飲む「オリーブ茶」を商品化し、人気が高まっている。また、お茶として飲むだけではなく、肉・魚の香草焼き、トマトソースなどの煮込み料理、お菓子などへの活用も提唱中だ。

また、オリーブを活用した化粧オイルの人気が高いほか、スキンローション、クリーム、石鹸など化粧品も数多く販売されている。

オリーブの果実は当然、食材として利用できる。さらに、オリーブオイル製造時に発生するオリーブ果汁を使用したシロップの開発や、オリーブサイダー、ドレッシングなども商品化され、お土産品や通信販売などで人気を博している。

このように、小豆島ではオリーブを海外産と差別化することと、イベントによる観光、加工品による産業化などで、地域ブランド化を目指しているのだ。

(文章:ブランド総合研究所 田中章雄)

参考:小豆島オリーブ公園

※この記事は「月刊商工会」の連載記事「注目!地域ブランド」の記事として、2010年12月号に掲載されたものです。

 

この記事のライター
関連記事
1500年の歴史を誇る越前和紙が、いま高級ブランドとのコラボでディスプレイに利用されるなど、欧州で注目を集めている。「越前和紙の里」の職人による世界への魅力発信の挑戦は続く。
公開: 2015-07-03 18:31:03
まるで銀行や旅行代理店のように、笑顔で住民にサービスする。弘前市役所は総合窓口システムや、コンシェルジュの導入などによる「窓口改革」を行い、住民からの評判が上昇している。“お役所”から“お客様”へ―。いま行政の窓口が変わりつつある。
公開: 2015-06-21 18:39:31
全国で取り組まれている地域ブランドの現状を、具体的な事例として紹介します。この記事は「月刊商工会」の連載記事「注目!地域ブランド」の記事として、2010年4月~2014年3月まで連載されたものです。
公開: 2015-06-19 00:01:42
神楽の新舞発祥の地である安芸高田市には、22の神楽団が活動を続けている。全国屈指の神楽どころとして、いま勇壮華麗、スピード感にあふれる神楽を使ったまちおこしに取り組んでいる。
公開: 2015-06-15 10:57:00
マレーシアの首都クアラルンプールの中心部にある高級ショッピングモールの中に、「東京ストリート」が1年前にオープン。浅草を模した店や、日本の季節に合わせたイベントは、大勢の人で賑わっている。
公開: 2015-06-07 10:01:23
最新記事
地域ブランド調査では、各地域名称に対して、魅力度の他にも様々な調査項目を設け、認知、イメージ、行動意向を調査している。 本項では、「1年間に当該地域名を見聞きしたことがあるか」を問う「情報接触度」の結果から、今年点数が上昇した輪島市など能登半島地域の結果を紹介する。
公開: 2024-11-22 17:00:00
鹿児島県のPR拠点である「かごしま遊楽館」の3階 鹿児島ブランドショップ東京店(東京都千代田区)」において実施している、知覧茶・焼酎の試飲や鹿児島の伝統工芸品を体験していただく定期サロン 「食とものづくり体験サロン」3回めとなる12月は、薩摩焼窯元 紫陶の柳 信一郎氏による絵付けワークショップの開催が決定しました。ただいま参加者を募集しています。
公開: 2024-11-19 17:36:44
地域ブランド調査では、各地域名称に対して、魅力度の他にも様々な調査項目を設け、認知、イメージ、行動意向を調査している。 本項では食品想起率について、「北海道」を事例に結果を紹介する。
公開: 2024-11-06 15:00:00
株式会社ブランド総合研究所は、このたび国内有力企業のSDGsの取り組みを消費者視点で評価する「企業版SDGs調査2024」を実施致しました。
公開: 2024-11-01 09:00:00
地域ブランド調査では、各地域名称に対して、魅力度の他にも様々な調査項目を設け、認知、イメージ、行動意向を調査している。 本項では、調査対象のうち1,000市区町村の2015年から2024年の結果から、観光意欲度の平均推移について紹介する。
公開: 2024-10-30 17:16:01

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
get_app
ダウンロードする
キャンセル