アグーとは沖縄県の琉球在来の「島豚」。毛は全身黒色で体質強健だが、体重は100キログラム前後と小型。霜降りの割合が多く、脂肪の溶ける温度が低いため脂のうま味が強い。肉質は柔らかくうま味成分も多く、コレステロールは低い。
今から約600年前に中国から伝わり、沖縄に定着したと言われる。1頭あたりの肉量が少なく、1度に産む子の数は4~5頭と少ない。そのため戦後は大型で発育の早い西洋品種が大量導入され、西洋種との交配による雑種化も進んだ。
一時は絶滅したと思われたが、1981年に名護博物館が全県を調査をした結果、約30頭が確認された。戻し交配によって93年にアグーが復活し、現在は600頭以上まで回復している。
なお流通しているものは生産性を高めるために外来種と交配された種で、アグーの血を50%以上有するものは「アグー豚」と呼ばれている。
(ブランド総合研究所 田中章雄)
※当記事は、2012年10月8日発行の日経MJ(日経流通新聞)に「地域ブランド AtoZ」として掲載しています。記事は日本経済新聞社の許諾を得ています。 無断での複製・複写・転載を固く禁じます。
第111回アグー豚
2012年10月09日更新
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