弊社が行っている自主調査「地域ブランド調査」で、毎年ニュースリリース等で結果を発表している項目「魅力度」※1の点数は単純集計、すなわち日本全国から見た各地域の結果だが、調査では単純集計のほかに、回答者の居住地を「北海道・東北」、「関東」、「中部」、「近畿」、「中国・四国」、「九州・沖縄」の6つに区分し※2、それぞれの地域居住者の結果も算出している(結果は刊行している調査報告書・個別報告書、データパック等に収録)。本稿では、2017年の調査結果のうち、47都道府県の魅力度について回答者の居住地別集計から特徴的な結果を紹介する。
■九州・沖縄居住者は自地域に属す県をより“魅力的”と評価する傾向
今回紹介するのは47都道府県結果で、各県が属す居住地の回答者からどのような評価を得ているのかをみてみる(例:東京都に対する関東居住者の結果、大阪府に対する近畿居住者の結果など)。
下図は、各地域区分の単純集計平均(全国からの評価)と自地域居住者の集計結果平均及びその点差を表したものとなる。すべての地域区分で共通しているのは単純集計の結果よりも、自地域に居住する回答者の結果が上回っている点だ。特に、最も点差が開いたのは九州・沖縄8県の平均で、単純集計(全国からの評価)が20.0点なのに対して九州・沖縄居住者に限ると32.7点と12.7点もの差が開いており、九州・沖縄居住者は自地域に対して高い評価を与える傾向が伺える。
【各エリアの魅力度単純集計平均と対応する居住地別集計結果】
■福岡県は九州・沖縄居住者にとって北海道並みに“魅力的”
九州・沖縄地域に関して各県の結果をみると、九州・沖縄居住者の魅力度が特に高かったのは福岡県、熊本県、大分県の3県だった。3県は単純集計よりも同地域居住者の評価が10点以上高くなっており、九州・沖縄居住者が他地域居住者よりも“魅力的”な地域と評価している。特に、福岡県は単純集計が25.4点だったのに対して九州・沖縄居住者に限ると60.7点と35.3点も高くなっている。
【九州3県の魅力度結果】
なお、福岡県は単純集計でみると、2017年の魅力度は8位となっているが、福岡県の回答者居住地別結果について、魅力度全国1位の北海道の居住地別結果と比較してみた。結果、北海道が全国満遍なく評価が高いのに対して、福岡県は九州・沖縄居住者の評価が、他地域居住者の結果と比較して突出して高くなっており、九州・沖縄居住者に限って言えば、北海道の結果よりも上回っているという結果となった。
【福岡県と北海道の回答者居住地別結果比較】
■まとめ
・各都道府県の魅力度は単純集計地よりも自県が属す居住者が魅力的とする傾向で一致している
・九州・沖縄居住者は自地域に属す県を魅力的とする傾向が強い
・特に福岡県は九州・沖縄居住者から非常に“魅力的”と評価されている
※1魅力度
同指標は任意の地域名について「どの程度魅力を感じますか?」という問いに対して、「とても魅力的」を100点、「やや魅力的」を50点、「どちらでもない」、「あまり魅力を感じない」、「全く魅力的でない」を0点として、それらを加重平均して点数を算出している。なお、認知度の設問において、当該自治体を「名前も知らない」と答えた人も含めた全回答者を対象に集計している。
※2居住地別集計の区分内訳
居住地別6区分の内訳は下記の通りとなっている。
北海道・東北:北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
関東:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
中部:新潟県、富山県 石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県
近畿:三重県、滋賀県 京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
中国・四国:鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県
九州・沖縄:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県