京都の土産品として人気が高いのが八ツ橋。うるち米粉や砂糖などを薄く伸ばし、短冊形に切って反りをつけて焼いたニッキ風味の堅焼き煎餅。その名は、近世筝(琴)曲の開祖と呼ばれる「八橋検校」に由来してる。
八橋検校は江戸時代初期の演奏・作曲家。摂津で三味線の分野で活躍した後、江戸にて現在の琴の基礎を作り上げた。その後、京都に移り、多くの門弟を育てた。八橋検校が1685年に72歳で亡くなって、京都の黒谷金戒光明寺に葬られ、多くの門弟たちが続々と墓参りに訪れた。4年後の1689年に黒谷参道の聖護院の森の茶店で、琴の形に似せた干菓子が、「八ツ橋」の名で販売されるようになった。
なお、蒸し終えた生地を焼き上げずに切ったものは「生八ツ橋」と呼ばれ、1960年代に商品化された。二つ折りにしてあんを包んだものが主流だが、チョコレートなどを包んだものや、生地に黒ゴマを練りこんだものど多様化している。
(ブランド総合研究所 田中章雄)
第81回:八つ橋
2012年03月05日更新
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