大阪府南部で栽培されている水分を多く含んだナス。果皮、果肉ともに柔らかく、ほのかな甘みがあって生のまま食べることができるが、ぬか床や漬物調味液に漬け込んだ漬物として食されることが多い。
現在は泉州地域を中心に約23haで栽培されているが、多くの種類があり、地区によって栽培品種が異なっている。ハウス栽培は3月、露地栽培は6月頃から出荷が始まる。
栽培暦は古く、奈良時代に宮中に献上されており、平安時代には果物のように生で食べられていたらしい。江戸時代初期には栽培技術が高まって生産が増え、畑の隅に植えておき、夏の農作業中で喉が渇いた時に生で食された。当時は地域外での販売は多くはなかったが、平成になって全国的な人気が高まった。浅漬けを小エビと和えた郷土料理「じゃここうこ」は小学校の給食メニューにも取り入れられている。
(ブランド総合研究所社長 田中章雄)
第78回:泉州水ナス
2012年02月13日更新
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