宮城県および岩手県南部で食される、フランスパンのような形をしている揚げ麩(ふ)のこと。仙台麩と呼ぶ地域もある。小麦粉に水を加えて練り、でんぷん質を洗い流して残ったグルテンを熟成させ、油で揚げて作る。製造方法はほぼ同じだが、店によって形や味がやや異なる。
麩は鎌倉時代に中国より伝わり、禅僧たちの精進料理の材料に用いられていた。その麩を使い、明治初期の頃に油揚げの代わりとして開発されたのがあぶら麩。特に夏場の暑い時期のスタミナ源として好んで食べられる。輪切りにして味噌汁やうどん、そばの具として使うことが多い。
30年ほど前に、あぶら麩を卵でとじてご飯の上に乗せた「油麩丼」が宮城県登米市の旅館の女将によって考案された。いわばカツ丼のカツの代わりにあぶら麩を使った丼。これがご当地グルメの大会などにも登場するようになり、注目を集めている。
(ブランド総合研究所 田中章雄)
第82回:あぶら麩
2012年03月12日更新
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