富山県魚津市で冬に大量に水揚げされるウマヅラハギのこと。日本近海から東シナ海にかけて生息するカワハギ科の魚で、顔面が長く馬の顔のようであることからウマヅラハギと呼ばれている。全身を覆うぶ厚い皮の表面には、小さなトゲのようなウロコが無数にあり、後頭部には一本の大きなトゲがあるため扱いづらい。また、陸に揚げると腐りやすい魚であることから、猫も食べない「ネコまたぎ」とも呼ばれるほど、あまり人気がなかった。
だが新鮮なものの肉質はクセがなく、食感はプリプリとして歯ごたえがあり、刺し身にするととてもおいしい。加えてキモには濃厚なうま味がある。そこで、2008年に地元に「魚津おさかなブランド化協議会」が設立され、「魚津寒ハギ」としてのブランド化に着手。1~2月に取れる体長25センチ以上の大物は高級プレミア商品「如月王(きさらぎおう)」として販売している。
(ブランド総合研究所 田中章雄)
※当記事は、2013年12月2日発行の日経MJ(日経流通新聞)に「地域ブランド AtoZ」として掲載しています。記事は日本経済新聞社の許諾を得て います。 無断での複製・複写・転載を固く禁じます。