小麦粉を水などで溶いて熱した鉄板に薄く円形に伸ばし、大量のキャベツやモヤシ、天かす、肉を重ねるようにのせてひっくり返す。蒸し焼きにした後、焼きそばの麺、卵などを加え焼き上げる。戦前に庶民のおやつとして食された「一銭洋食」というネギ焼きが元祖。
戦後に店を失った人たちが1950年ごろに新天地広場などの屋台でお好み焼きを提供し始めた。当初は野菜と揚げ玉を使った重ね焼きで、二つ折りにして新聞紙にくるんで持ち帰れるように売られていた。55年頃には肉や麺など具材が増え、丸いまま提供する今の広島風の形になった。
現在は広島県にお好み焼き店は1800店弱あり、人口当たりの店舗数は大阪府や兵庫県を上回って日本で最も多い。63年に広場が公園として整備された際、屋台は立ち退きとなったため、公園前に2階建てのプレハブ風店舗「お好み村」が造られ、広島の新名所となった。
(ブランド総合研究所 田中章雄)
※当記事は、2013年2月11日発行の日経MJ(日経流通新聞)に「地域ブランド AtoZ」として掲載しています。記事は日本経済新聞社の許諾を得ています。 無断での複製・複写・転載を固く禁じます。
第128回 広島風お好み焼き
2013年02月12日更新
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