福井県では冬に水ようかんを食べる習慣がある。B5判くらいの長方形で深さが2センチ程度の浅い紙製の箱入りで、14切れに細長く切れ目が入っていて、木製の小さなへらですくうようにして食べる。
一般的な夏に食べる水ようかんより水分が多く、黒砂糖で香り付けをしているのが特徴。福井の和菓子店の冬の主力商品で、材料や製法は同じであっても、店によって味が異なる。
水ようかんは晩秋に収穫した小豆を使い、おせち用の菓子として江戸末期から明治時代に作られたのが発祥と言われている。かつては漆塗りの木箱に流し込んでつくり、店で経木(紙状の木)などに包んで、ばら売りにしていた。昭和になると紙製のものにほぼ統一されて普及した。正月には数箱をまとめ買いする家庭も少なくない。
福井県の若狭や奥越地方などでは「丁稚ようかん」とも呼ばれるが、この名は小豆の出汁を使って安く作り、丁稚が里帰りする際の手土産として持たせたことに由来するらしい。
(ブランド総合研究所 田中章雄)
※当記事は、2013年1月14日発行の日経MJ(日経流通新聞)に「地域ブランド AtoZ」として掲載しています。記事は日本経済新聞社の許諾を得ています。 無断での複製・複写・転載を固く禁じます。

第124回福井の水ようかん
2013年01月15日更新
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