明治時代に愛知県でつくられて全国に普及した地鶏で、正式名は「名古屋種」。明治15年ごろ、海部壮平・正秀の兄弟が中国から輸入されたバフコーチンという鶏と尾張地方の地鶏を交配。肉質や産卵能力がよく強健なため全国に広まった。
それ以降は他の鶏と交配されておらず、日本農林規格で在来種とされている。大量生産に適するように改良された鶏にシェアを奪われ、名古屋コーチンは絶滅寸前まで減少した。
だが近年、味の濃い地鶏がブームとなり、再び注目され始めた。2007年にニセモノ事件が起きたことをきっかけに、名古屋コーチンの生産・流通に携わる関係者が協会組織を設立し、基準作成などを行っている。
殻が桜色でやや小ぶりの卵は、卵黄の比率が高く濃厚な味が特徴。親子丼、だし巻き卵、だて巻きなどの料理に用いられる。プリンやカステラ、ケーキなどの加工品も人気がある。
(ブランド総合研究所 田中章雄)
※当記事は、2012年12月9日発行の日経MJ(日経流通新聞)に「地域ブランド AtoZ」として掲載しています。記事は日本経済新聞社の許諾を得ています。 無断での複製・複写・転載を固く禁じます。
第120回名古屋コーチン
2012年12月10日更新
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