滋賀県内で最も長い期間飼育された黒毛和種。豊かな自然の中で栄養バランスに配慮した飼料で育てられ、その肉は霜降り度合いが高く、軟らかい。肉用牛としての歴史は古く、三大和牛の1つとされている。
江戸時代初期に彦根藩で花木伝右衛門が牛肉の味噌漬けを考案し、反本丸(へんぽんがん)と称した。これは栄養を補う薬とされており、1781年には将軍・徳川家斉に献上された。また、88年には干した牛肉も献上されている。干し肉は塩加減をできるだけ少なくするために、寒さ厳しい1月から2月に陰干しにして作られたという。明治時代に牛肉食が始まると、近江牛は全国に普及した。
2005年に起きた牛の肥育履歴を偽装した事件を機に、飼育期間など近江牛の定義が決められた。近江牛生産・流通推進協議会では、特に品質の高いものに認定書を発行している。
(ブランド総合研究所 田中章雄)
第177回 近江牛
2014年02月10日更新
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