新潟県の三面川を遡上してきた、脂がのって肉質もしまっているオスの鮭(さけ)を、内臓やエラを「止め腹」という独特な切り方で取った後、あら塩をすり込んで1週間ほど塩漬けにする。それを水洗いして日本海特有の浜風で寒風干しにして仕上げる。11月に仕込みが始まり、12月の上旬には多くの町家の軒下に、頭を下にした鮭がつり下げられる。村上の冬の風物詩で、庄内町・小町坂周辺は「村上鮭塩引き街道」と呼ばれている。
江戸時代に乱獲により鮭が激減したが、村上藩士の青砥武平治が鮭の回帰性を発見し、産卵に適した環境をつくる「種川の制」を1762年に制定した。この世界初の鮭の増殖事業が成功し、村上は鮭漁で潤った。村上市では大みそかの夜に年取り魚として鮭が食卓に並ぶほか、11月には七五三の代わりに5歳の男児を祝う「袴儀(はかまぎ)」という儀式でも鮭料理がふるまわれる。
(ブランド総合研究所 田中章雄)
第167回 塩引き鮭
2013年11月18日更新
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