「一楽・二萩・三唐津」と言われるほど、茶人の抹茶茶わんの好みとしての評価が高い。器の表面のうわぐすりがひび割れた状態になる「貫入」と、長年使い込むとお茶やお酒が浸透して器表面の色が枯れた味わいをみせる「七化け」が特徴。器の脚の部分に切り込みをいれた「切り高台」が多い。
1592年と97年の豊臣秀吉による朝鮮出兵で、出陣した大名が朝鮮より陶工を連れ帰って始めたのが起源。関ヶ原で敗戦した毛利家が居城を萩へ移した際、李勺光(山村家、深川萩)と李敬(坂高麗左衛門、松本萩)の兄弟が深川(長門市)と松本(萩市)に移り住んで窯を築いた。そのため土味の色やうわぐすりなど、古い高麗茶わんの影響が強く残る。
毎年5月の萩焼まつりには多数の窯元などが出店する。10月の萩・田町萩焼まつりのほか陶芸体験、まちあるきなど萩焼を活用したまちづくりがされている。
(ブランド総合研究所 田中章雄)
※当記事は、2012年10月14日発行の日経MJ(日経流通新聞)に「地域ブランド AtoZ」として掲載しています。記事は日本経済新聞社の許諾を得ています。 無断での複製・複写・転載を固く禁じます。
第112回萩焼
2012年10月15日更新
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